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【首都スポ】

テコンドー 五輪出場目指す 大東大・山田亮&鈴木セルヒオ

2016年4月5日 紙面から

オリンピック出場を狙う大東大テコンドー部の鈴木セルヒオ(右)と山田亮=東京都板橋区の大東文化大学で(福永忠敬撮影)

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 テコンドーのリオデジャネイロ五輪出場権を懸けたアジア大陸予選(16〜17日、フィリピン・マニラ、各級出場枠2)に、大東文化大から58キロ級の鈴木セルヒオ(4年・漢城高=韓国)と68キロ級の山田亮(4年・新潟商)が出場する。階級は違えど、大学1年から切磋琢磨(せっさたくま)し、一緒に成長してきたライバルだ。テコンドーや五輪への熱い思いあり、プライベートの爆笑話ありと、21歳の仲良しトークをお届けします。 (取材・構成=フリージャーナリスト・辛仁夏)

 −テコンドーを始めたきっかけを教えてください

 鈴木「始めたのはボリビアで5、6歳のころ。僕も亮と一緒で親から格闘技をやれと勧められ、当時から蹴り技が好きで、これいいなとたまたま始め、それからずっとテコンドー一本です」

 山田「5歳から空手を始め、高校生で世界大会2位になりました。空手出身でテコンドー日本代表の笠原江梨香さん(ロンドン五輪7位入賞)がいることを知り、注目度が空手とは全く違っていました。僕は空手の世界では結構有名でしたが、全く取り上げてもらえなかった。もともと足技が得意で、空手の先生からテコンドーをやってみないかと誘われ、自分なりにかなり悩みましたが、やっぱりオリンピック種目に魅力を感じて転向しました」

 −大学で出会ったおふたりは、お互いをどう思っていますか

 山田「セルはこの素晴らしい顔立ちですが、よく『しゃべらなきゃ格好いいのにね』と言われ、ちょっと天然なんですよ。最近では、豆腐にしょうゆと間違えてウスターソースをかけていて、平気で半分くらい食った後に変だなと気がついていました(大笑い)。試合ではキリッとした目でいつも冷静で、安心して試合を見ていられます。そのギャップがすごくて魅力です」

 鈴木「もういいでしょう(と、恥ずかしそうに)。亮は普通の友達というより、戦友ですね。僕も韓国での高校時代までは勝てなくて、大学1年時に初めて全日本学生選手権で優勝でき、青帯の亮も優勝して、同期では2人だけ。そこから一緒に成長してきて、今回の最終選考会でもお互いに優勝でき、すごい運命的なものを感じます。気持ちが強くて会場を沸かせる戦い方をする亮がうらやましい。

 それに、空手出身で見た目はごつくて怖く、近寄りがたいイメージですけど(笑)、頭が切れ、ワガママでかわいかったりと少年のような心の持ち主で、単純で純粋ですね。彼はものまねが得意で、お笑いに関してはストイックです」

 −どんなものまねを?

 山田「(ドラえもんの)ジャイアンが一番得意です!」(ドヤ顔で)

 鈴木「頼んでもやってくれませんが、(サッカー日本代表の)本田圭佑さんやジャイアンなど特徴を捉えるのが結構、うまいです」

 −いま頼んだらやってくれますか

 山田「(笑って)じゃあ、ジャイアンくらいなら。『おい!のび太!』。ビミョ〜ですね(照れ笑い)」

 一同「いや、うまい!」(と絶賛)

 −いい友情関係を育んでいますね

 山田「セルヒオが勝ったら『俺も絶対勝ってやろう』と思います。違う階級だけど、ライバルという関係だったおかげで自分も強くなれました。あまり認めたくないですが、感謝してます!(笑)」

 鈴木「僕もやっぱり亮と出会えてからは、一緒に自主練もしたり、練習のない日も一緒に練習したり、テコンドーの話をよく語り合ったり。これほど真剣に向き合ってくれる人はあまりいないので、感謝したいですけど、オリンピックで金メダル取ってからにしようと思います。一緒にオリンピックに行って、お互いにいい成績を残したら最高だなぁ」

 −おふたりの夢や目標は何ですか

 鈴木「幼いころからテコンドーをやっていて、気がつけば世界一を目指すようになっていましたね。オリンピックの金メダルを取れば、マイナーなスポーツである日本のテコンドーを多くの人に知ってもらえて、国の支援も増えると思うので貢献したいです。また、やっている人は多いのに、国の支援も国際大会に出るチャンスも少ないボリビアに、僕が初めてオリンピックの金メダルを持って行ったら、すごい力になるに違いないので、ボリビアのスポーツ界やテコンドー界を変えていきたいです。それもモチベーションの一つです」

 山田「僕は小学校の時から周りの友達に冗談ぽく、『世界を驚かせる人間になる』と言っていました。世界的なスーパースターのマイケル・ジャクソンみたいに、亡くなった時に世界に衝撃が走るくらい偉大な男になりたいなと。自分は大きな場面になればなるほど、『おっ!』とみんなを驚かせることが多く、『俺、大舞台でやっちゃうタイプかな』と思っていますね(笑)」

 −“持っている”んですね?

 山田「そうですね。本田圭佑風に言うと『持っている』のかな(笑)。最終選考会(1月)も間違いなく、余裕で勝つことは絶対にないと思っていました。僕は決勝で1回負けていて、敗者復活戦で自分でいうのもなんですが、劇的な優勝をして、やっぱり『持っているな』と思いました。今回のアジア大陸予選も大舞台なので、やっちゃうんじゃないかなと(笑)。自分でもどんどん自信が出てきて優勝することを目標に練習しています」

 −最後に、アジア大陸予選への意気込みをお願いします

 山田「僕はセルヒオみたいに世界ランクが(高く)なく、他の選手に全く知られていないので、そこをプラスに考え、わずかなチャンスをものにして絶対優勝を目指します。アジア大陸予選では相手の蹴りを避けつつも、チャンスに攻撃できるように常に準備をして向かっていけるような戦いをしたいです」

 鈴木「やっぱり常に進化あるのみなので、現状に満足することなく、いかに攻撃力、防御力を高めてスキを最大限になくすかです。試合の流れをつかんで、心技体のバランスの調整をうまくやれば、絶対に勝てると思っています。優勝候補のカザフスタンやタイの選手たちには絶対に勝たないといけないですね」

    ◇

 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」面がトーチュウに誕生。連日、最終面で展開中

 

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