実際の町並みに合成した動画公開 神奈川・鎌倉
神奈川県鎌倉市は実際の街並みの映像に津波を合成したシミュレーション動画を作成、今月からホームページ(HP)上で公開している。鶴岡八幡宮の一の鳥居(国指定重要文化財)や鎌倉駅など見慣れた光景が津波にのみ込まれる迫力ある映像で、津波対策の重要性を訴えている。
動画は14分間で、県が昨年発表した相模トラフ地震のデータなどを参考に作成した。地震発生から8分で、最大14・5メートルの津波が発生するとの想定で、由比ガ浜、鎌倉駅、七里ガ浜、腰越の市内4カ所の様子(各75秒)や津波のメカニズムなどが盛り込まれている。
津波の動画は平塚市でも作成しているが、濁流となって市街地に流入する生々しい様子を取り込んだ動画は県内初という。市民から「観光地のイメージを損なう」などの苦情が出ることも考慮したが「命を守ることの方が大事」と公開を決めた。
市総合防災課は「怖いと思われる方もいるかもしれないが、動画を見れば、『津波が来たら、まず逃げろ』という教訓がよく理解できるはず。動画を見て、防災意識を高めてほしい」と話している。DVD版も作製しており、学校や自治会に貸与し、防災教育に役立ててもらう。【因幡健悦】