■Miracle Blend
先日、「ご注文はうさぎですか?? TVアニメ公式ガイドブック Miracle Blend」を購入しました。
もはや、「すべてがかわいい」では言い尽くせない、TVアニメ「ご注文はうさぎですか??」(2015年10月~12月放送)の公式ガイド ブック。第2期でもさらにパワーアップした、ココアたちの美しく・かわいく・いやされる日々をまとめた1冊です。表紙はKoi先生描き下ろし! 【内容】キャストインタビュー、スタッフ制作秘話、 美術設定画公開など。
「もはや、すべてがかわいいでは言い尽くせない」という煽り文句がイカしますね。「もはや」って。
本書の内容は基本的なアニメのガイドブックと同じです。版権絵の掲載やキャストインタビュー、各話の簡単な解説など。ごちうさファンなら必携のアイテムです。ファンでなくとも、メガミマガジンなどに掲載されていた版権絵を眺めているだけで幸せになれますので、今すぐ購入しましょう。
・ラビットハウスのレビュー
特に僕が本書を気に入った点は、「ラビットハウス」や「甘兎庵」などの、作中に登場するお店を、食べログ風に評価していくレビュー記事です。
コーヒーの価格や「あまりお客さんも多くない」という一文など、まるで現実に存在するかのように紹介されると、親近感が湧いてグッとごちうさ世界に近づいた気になれますね。勿論気のせいですので、現実の個人で経営をしている喫茶店は、可愛い店員さんどころか客も店員も老人のみが主ですが。
というか「ラビットハウス」、流石に本編内で観測できる範囲のお客さんが少なすぎるので、夜のバータイムの売上がメインだと思っていたのですが、この記事だと枠が小さいですね。リゼ父と共謀して銃器の横流しなどをシノギにしている、とかではないのか心配です。
・声優インタビューがキテる
キャストインタビューは、「ココア(佐倉綾音)×チノ(水瀬いのり)×モカ(茅野愛衣)」「リゼ(種田梨沙)×マヤ(徳井青空)×メグ(村川梨衣)」「千夜(佐藤聡美)×シャロ(内田真礼)」の3つの対談に分かれています。
ここでの佐藤聡美さんと内田真礼さんの対談は非常に百合百合していまして、9羽にてラパン制服を着た千夜ちゃんの胸が弾け飛ぶシーンについてですが、「あのシーンを録った時は周りのみんなから『イチャイチャすんなよ!』みたいなヤジが」「『もう~、カップル~♪』みたいな空気に」など、濃厚な千夜シャロ空間ができあがっています。
そもそも「千夜とシャロの対談ということでいうと、ぜひ聞いておかなければならないシーンが~」と訊いてくるインタビュアー、明らかに訓練された百合厨なのでは。
2期の千夜シャロについては別記事で纏めましたので、良ければご一読頂きたい。
■「かわいい」に全振りするということ
ガイドブックの紹介は程々にして、早速本題へ入っていきましょう。
先ほどガイドブックの煽り文句には「かわいいでは言い尽くせない」と書いてありましたが、敢えてごちうさアニメを一言で評価すると「かわいい」に尽きます。
「かわいい」だけのアニメと言うと語弊がありますが、美少女をメインにした作品で「かわいい」程大切な事はありません。実質、氾濫した美少女アニメの中でもごちうさが出色の出来として多数のファンを獲得できたのも、他の追随を許さない「かわいい」内容だったからでしょう。
そんなごちうさが何故「かわいい」のか。それはアニメスタッフ、延いては原作者のKoi先生による、少しでも多く「かわいい」と感じて貰えるよう、血が滲むように地味な微調整の賜物なのです。
以前、こんなツイートをしました。
この前「できる限りオタク読者を傷つけないように繊細に作品を作っていかないといけないので、日常美少女系漫画の編集は気が狂う」という話を聞かせて貰い、それ以降ごちうさやきんモザを読む際、1ページ毎に画面の向こうに居る製作側の努力と配慮に感謝を込めて丁寧に捲るようにしてます
— にゃるら (@nyalra) 2015年9月24日
そういう業界の方と会った日のツイートです。「かわいい」に特化するために、少しでも読者を不快にさせる表現を避けつつ、万人が笑顔になる話を作っていく、徹底的に優しい世界なんですね。因みにこの話をしてくれた方は、日常系アニメを「あれは禅なんですよ」と評していました。
・偉大なるKoi先生
ガイドブックには、Koi先生のインタビューも載っています。今回のインタビューでは、主に先生が提供した「各羽キャラクターの私服設定」についての解説です。
ちょっと僕の撮影技術がなさすぎて右上のココアさんが光になってしまいましたが、かなり細かくそれぞれのキャラをイメージした私服設定がなされています。
基本的には、ごちうさの世界観に(街並み)に合ったパステルカラーやクラシカルに、リアルすぎないようなデザインを意識しているそうです。
アニメとして映えるよう「色数」や「パーツ数」まで計算されているそうで、放送中は只々「チノちゃんの服かわいい~」と涎を垂らしていた自分が馬鹿みたいですね。
生活感を出すために髪型もバリエーションを揃えていますし、例えばシャロちゃんの洋服は基本的に千夜ちゃんのお下がりですが、幼女の頃と今で配色が違うので、成長過程でお互いの個性がでてきているなど、服装や髪型だけで物語や感情を表現なさるKoi先生の技術と深い拘りに脱帽。
本来、各羽ごとにキャラクターの髪型や服装が変わっていくのは、製作側からすると面倒この上ないでしょう。その分、毎回キャラクターに生活感を与えたごちうさが、如何に「視聴者に愉しんで貰えるか」に妥協しないアニメなのかが伝わってくるインタビューでした。因みに特徴的な各話のサブタイトルもKoi先生考案です。僕のお気に入りは7羽の「甘えん坊なあの子はシャボン玉のように儚く消える」。
・モカさんの登場タイミング
ごちうさ2期といえば、何と言ってもココアちゃんの姉である「モカさん」の登場です。
スタッフインタビューを読むと、このモカさん登場回をいつに持ってくるかで何度も議論を重ねています。
監督の橋本さんの考えでは、早めにモカさんを登場させると、その後モカが居なくなった「お姉ちゃんロス」状態に視聴者が耐え切れるか不安だったそう。
結局Koi先生含むシナリオ会議では、5羽6羽にモカさんを登場させる事に決定しました。モカさんが帰った後の7羽で、一度メインの5人のみで展開する話を持ってくることにより、「モカお姉ちゃんは居なくなったけど、私たちだけでなんとかしなきゃ」感を演出し、視聴者の喪失感を薄めるという形です。
この辺りの話を読んでいる時は、只々涙を流し続けていました。まさかモカお姉ちゃんのエピソードが、こんな葛藤の末生まれたなんて……。ここまで視聴者のメンタルに配慮して作られたアニメも早々ないでしょう。
それにしても、監督含めた全スタッフがKoi先生を神格化された絶対者として敬っているの面白い。因みに5羽6羽と続けることで、モカお姉ちゃんの話をDVD一枚に纏められるようなされています。
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・スタッフによる徹底した演出
シナリオ面では、チノちゃんのテンションを1期より上げたり、アニメとして映えるよう原作とは展開を少し変更するなど、色々な調整が行われたのですが、その辺は各自でガイドブックを読んでもらうとして、「撮影監督」や「背景美術」の話に注目しましょう。
例えば撮影監督である峰岸さんは、水面や床などの映り込みにも細かく力を入れていて、3羽でのバレエ教室での床や7羽でのシャボン玉の映り込みなど、普通ならば省略する部分にも、画に説得力を持たせるために作りこんでいます。
他にも光一つにもウサギの形をいれるなど、遊び心も満載です。
美術面では、3羽ではつぼみ状態だった桜が、4羽のアバンでは段々と花咲き、後半では満開に咲くことで、背景でも季節感を演出したそう。
そう意識すると、去年の冬コミで販売された「ご注文はスタッフ本ですか??」掲載の、動画検査補佐を担当した小出さんのイラストに感慨深いモノを感じます。
・性的にまなざさない
ごちうさでは「かわいい」に徹しているので、キャラクターの掛け合いに集中し、サービスカットも必要最低限に調整されています。チノとモカのお風呂シーンは原作にない話ですが、二人の関係性を掘るための役割も果たしているので、サービスシーン一つにも裏のメッセージが込められていますね。
その分、例えばリゼちゃんの咥えゴムなど、何気ないシーンがえっちに感じられるので、ある意味バランスは取れている気もします。画像は「小幡寛之」さんの原画集から。
■最後に
こうして何気なく「かわいい」シーン一つ一つ見ても、視聴者への繊細かつ徹底した配慮の産物ということがよく分かります。
勿論、ごちうさは「かわいい」だけでは言い尽くせないアニメです(前言撤回)。特に2期はチノとココアの成長物語になっていますし、写真で始まり写真で終わる構成や、1期の最終話とは逆にココアちゃんがチノちゃんに囁くラストは流石の一語です。チノが無意識に「うん」と答えるのは、姉妹の信頼の証としてKoi先生が発案したアイディアだそう。
因みに酔ったチノの演技や演出は、スタッフと声優さんが一番気合を入れていますし、文句無しに「かわいい」ので必見です。
気づけばシャロちゃんの画像が一枚もなかったので、最後にイラスト本で一番気に入っている一枚を。
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