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広島市民球場跡地事業計画案及び事業予定者 選考結果報告書

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広島市民球場跡地事業計画案及び事業予定者 選考結果報告書

平成19年8月
広島市民球場跡地事業計画案及び事業予定者選考委員会

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目 次
1 選考結果
2 事業計画案の概要
3 選考理由及び講評
 (1)選考理由
 (2)講評
4 選考委員会の開催状況等
 (1)開催状況
 (2)評価方法
5 選考経緯
 (1)「広島市民球場跡地利用検討会議」における提案の選定
 (2)「広島市民球場跡地事業計画案及び事業予定者選考委員会」の設置及び事業計画案の募集
 (3)選考委員会における第1段階の選考
 (4)選考委員会における最終選考



1 選考結果
 
広島市民球場跡地事業計画案及び事業予定者として、下記の条件を付して、次のとおり選考した。
最優秀案
該当なし
優秀案
次の2件を優秀案とする。
事業計画案 提案番号1
平和祈念堂(Orizuru Forest 平和を祈念する折り鶴祈念堂と市民の森)
提案番号3
水な都(みなと) Mother's Stage
事業予定者 応募者名 Thousand Cranes Team 国境のない地球公園
代表企業 株式会社池原義郎・建築設計事務所 エヌ・ティ・ティ都市開発株式会社
構 成 員 株式会社ワコールアートセンター
株式会社シンク・コミュニケーションズ
株式会社東畑建築事務所
鳳コンサルタント株式会社
条   件 (1) 都市公園としての多様な利用形態や野鳥、昆虫の生育環境への影響に配慮し、事業計画案の企画・設計段階において、「祈念堂」の設置位置や素材、デザイン等の変更について柔軟に対応すること。 (1) 事業計画案の企画、整備、運営の各段階において、より多くの市民や来訪者が利用しやすい空間となるよう、多様な主体(市民、周辺商業者など)が参画できる具体的な仕組みを構築し、事業予定者が中心となって取り組むとともに、デザイン等の変更について柔軟に対応すること。
(2) 周辺商業地と一体となって賑わいを創出できるよう、NTT基町クレドやそごう、シャレオ、本通商店街などと連携して具体的な集客プログラムを作成し、取り組むこと。 (2) 周辺商業地と一体となって賑わいを創出できるよう、NTT基町クレドやそごう、シャレオ、本通商店街などと連携して具体的な集客プログラムを作成し、取り組むこと。
次点
該当なし



2 事業計画案の概要
 
区  分 提案番号1
提案名 平和祈念堂
(Orizuru Forest 平和を祈念する折り鶴祈念堂と市民の森)
応募者名 Thousand Cranes
代表企業(所在地) 株式会社池原義郎・建築設計事務所(東京都新宿区)
構成員(所在地) 株式会社ワコールアートセンター(東京都港区)
株式会社シンク・コミュニケーションズ(東京都港区)
概算事業費 18億5,100万円
事業者負担: 6億3,100万円
  (負担額は全額寄附を想定)
市  負担:12億2,000万円
オープンまでの市民ワークショップ/
アートワークス事業支援費 6,000万円
球場解体費 5億円
公園整備費 6億6,000万円
施設概要 主要な施設 祈念堂
ビジターセンター
フォリー等
緑地・広場等のオープンスペース 市民の森等
完成時期 平成23年(2011年)
※ Orizuru Houseは平成21年(2009年)オープン
集客予測 187.2万人/年
(イベント時の集客数約30万人を含む。)
事業計画概要書(PDF 約3MB)
 
区  分 提案番号3
提案名 水な都(みなと) Mother's Stage
応募者名 Team 国境のない地球公園
代表企業(所在地) エヌ・ティ・ティ都市開発株式会社(東京都千代田区)
構成員(所在地) 株式会社東畑建築事務所(大阪市)
鳳コンサルタント株式会社(東京都千代田区)
概算事業費 12億5,200万円
事業者負担: 1億8,100万円
市  負担:10億7,100万円(第1期)
球場解体費 4億2,000万円
公園整備費 6億5,100万円(第1期)
(将来追加整備費5億2,400万円)
施設概要 主要な施設 森のパビリオン
緑地・広場等のオープンスペース アクア・ステージ
地球広場、地球の道等
完成時期 平成22年(2010年)12月
集客予測 約176万人/年
(イベント時の集客数約24万人を含む。)
事業計画概要書(PDF 約4MB)



3 選考理由及び講評
 
(1) 選考理由
 
最終選考において、提案番号1、3、6の3件の事業計画案について「施設の機能や内容」と「民間活力の活用による事業の実現性」の観点から総合的に評価した結果、提案番号1「平和祈念堂(Orizuru Forest 平和を祈念する折り鶴祈念堂と市民の森)」と提案番号3「水な都(みなと) Mother's Stage」の2件の事業計画案を優秀案として選考した。

3件いずれの事業計画案も、「施設の機能や内容に関する評価(ア 公園としての質と施設の適合性、イ 都心活性化への寄与、ウ 景観形成への貢献)」の観点からは、次のとおり優れた提案であった。
提案番号1は平和、提案番号3はエコロジー、提案番号6は庭園というそれぞれテーマ性を持った提案であり、広島としての歴史性、文化性、独自性などを意識した提案である。
広場や緑地などのオープンスペース機能を備え、デザインについても戦後復興のシンボル的空間である中央公園にふさわしい水準に達している提案である。
景観に十分な配慮がなされており、原爆ドームの近接地にふさわしい施設として提案されている。

一方、いずれの事業計画案も、「民間活力の活用による事業の実現性に関する評価(ア 事業方式を含めた事業実施体制の確実性、イ 事業収支計画など財務面の妥当性、健全性、ウ 市が負担する内容とその金額)」の観点からは、次のとおり課題が残る提案であった。
提案番号1については、事業推進の中核となる応募者の事業推進能力が未知数であり、事業推進体制にやや不安が残る。
提案番号6については、公共主導型の事業推進体制が提案されており、事業スキームも明確になっていないなど、事業推進体制の点において疑問がある。
また、提案番号1と6の提案において、事業費の資金調達の方法として市民等から広く寄附金を募るとしており、市民参加の促進という点では有意義な手段であると考えられる。しかしながら、現時点で寄附金が集まる見通しが十分に明らかにされておらず、仮に寄附金を予定どおり集めることができなかった場合には、事業の見直しが必要となる恐れがある。
提案番号3は、民間の費用負担により整備・運営する施設の整備費が総事業費に比べて少なく、提案どおり事業は実現できると考えられる。しかしながら、事業への関わり方がやや消極的に感じられるなど、民間活力の活用の度合いが比較的少ない点で不満が残る。
このため、最優秀案は該当なしとした。

しかしながら、提案番号1は、自発的な市民の参加と創造を誘発するための様々なプログラムが提案されており、新しい市民主導型の事業となる可能性を秘めた提案である。
また、提案番号3は、資力・信用力のある企業が中核企業となっており、民間事業者の事業実施体制が確立されている。また、期待される資金調達能力も高く、事業実施の確実性も高い。
このため、提案番号1と提案番号3をそれぞれ優秀案として選考した。

ただし、提案番号1については、都市公園としての多様な利用形態を可能とし、一層の賑わいを創出するために、「祈念堂」の設置位置等について工夫する必要があるとともに、施設の素材が、野鳥や昆虫の生息環境を脅かす危険性があることから、それを防ぐための工夫も必要である。また、対象地の周辺には商業施設が集積しており、本事業を推進することによって、一層の賑わいを周辺に波及させていく必要がある。こうしたことから、事業予定者としての役割を担う際の条件を附すこととした。
提案番号3については、対象地は広島市の都心部にあって、市民だけでなく国内外から多くの人々が訪れる都市公園であることから、本事業の企画・整備・運営の各段階において、より多くの人々が利用しやすい空間となるよう、多様な主体(市民、周辺商業者等)の参加を促していく必要がある。併せて、こうした市民参加による計画づくりを通じて、必要に応じ、「アクアステージ」や「地球の丘」等の施設のデザインや形態の変更について検討を行うなど、より利用しやすい空間づくりのための柔軟な対応が求められる。また、提案番号1と同様に、本事業を推進することによって、一層の賑わいを周辺に波及させていく必要がある。こうしたことから、事業予定者としての役割を担う際の条件を附すこととした。

なお、現球場跡地利用の検討にあたっては、平成17年度に市民や各種団体を対象に提案募集を行った結果、377件の提案や意見が寄せられた。これら数多くの市民等からの提案や意見も踏まえながら、昨年5月の「広島市民球場跡地利用検討会議」において、民間事業者から提案された26件の事業計画案の中から11件が選定された。
さらにこのたびの選考委員会において、この11件のうち、応募のあった6件の中から段階的な絞り込みにより2件の事業計画案を優秀案として選考したところであり、市民のニーズや時代の変化に応じて成長が期待できる事業内容が盛り込まれた事業計画案を優秀案として選考できたものと考えている。
このため、今後、跡地利用計画の具体化にあたっては、市がこの2件の事業予定者とともに、市民や地元の商業者等と連携しながら、それぞれの事業計画案の優れた点を生かしながら、より良い利用計画にしていただくことを期待する。

(2) 講評
 
ア 優秀案
【提案番号1 「平和祈念堂(Orizuru Forest 平和を祈念する折り鶴祈念堂と市民の森)」】
(施設の機能や内容に関する評価)
平和を基調に、芸術性の高いデザインが提案されている。緑豊かな市民の森に対比して提案された平和祈念堂は、ヒロシマの心を世界に発信するテーマ性を持つ施設であり、その造形性から平和のモニュメントとして高く評価される。
市民参加のムーブメントを巻き起こすための連続的なワークショップの開催提案と、豊かな都心の緑の連続性が提案されている点は評価できる。
その一方において、平和記念公園との機能の重複を懸念する意見があった。
また、幅広い公園利用を制約すること、施設の素材、規模が鳥類などの生物生息環境に負の影響を与える危険性があるとの意見もあった。
(民間活力を活用した事業の実現性に関する評価)
応募者の資力・信用力・事業推進能力が未知数であり、事業推進体制にやや不安が残る。
事業費の資金調達の方法として、市民や企業から広く寄附金を募るとしており、市民参加の促進という点では有意義な手段であると考えられる。しかしながら、寄附金の目標金額のうち、現時点で目処が立っている額は全体事業費に比較して少額であるなどの課題があり、仮に寄附金を予定どおり集めることができなかった場合には、事業の見直しが必要となる恐れがある。

【提案番号3 「水な都
(みなと) Mother's Stage」】
(施設の機能や内容に関する評価)
原爆慰霊碑と原爆ドームを結ぶ軸線の延長上にプロムナードを設置し、いわゆる「丹下の軸線」を意識した計画づくりがなされていることは、高く評価できる。
イベントが開催可能な芝生広場や三日月状の水面及び芝生の土手による空間構成も明快である。
水をはじめとする自然環境をテーマにした内容であり、レクリエーションや自然観察など、市民の憩いや環境学習の場としての日常的な利用空間は、平和記念公園を訪れる国内外の人々の鎮魂の思いを受け止める癒しの場とも重なる。ゆるやかに傾斜した芝生広場は、利用する側の創意と工夫によって多様なイベント空間ともなり、公園利用者のためのレストランやショップ等の施設である「森のパビリオン」と併せ、賑わいも誘導できる提案になっている。
ただし、広い水面や長い土手が公園の自由な活動を制約したり、北に続く公園の広がりを視覚的に遮っていることを問題点として指摘する意見もあった。
(民間活力を活用した事業の実現性に関する評価)
中核となる事業者は、十分な資力、信用力、事業推進能力を有しており、「森のパビリオン」の整備についての実現性は高い。また、NTT基町クレド、さらにはシャレオ、本通商店街などを巻き込んだ周辺商業地と連携した利用に関して、中心となって活動していく担い手としての役割も期待できる。市の負担額の軽減を図るため、段階的な整備計画を立案するなどの工夫もみられる。
しかしながら、民間の費用負担により整備・運営する施設の整備費が総事業費に比べて少ない。また、事業の関わり方がやや消極的に感じられるなど、民間活力の活用の度合いの点で不満が残る。このため、事業実施にあたり、民間の負担割合の増加や事業の関わり方について、さらなる工夫を求める必要があるとの意見があった。

イ 上記以外の最終選考の対象とした案
【提案番号6 「広島市民ガーデン 世界のひろっぱ」】
(施設の機能や内容に関する評価)
施設全体が庭園としてのテーマ性を持っており、多目的広場の活用方法を工夫することにより、多くの市民や観光客の集客が期待できる。
世界各国の樹木や花のガーデンなどから構成される緑の輪や水の輪について全体が調和した美しい景観が創り出せるかどうか懸念されるが、「水と緑と文化のまち」広島にふさわしい提案であるといえる。また、現球場の一部を残し、活用していくという内容についても、広島市民の現球場に対する「思い」に配慮した提案であり評価できる。
(民間活力を活用した事業の実現性に関する評価)
LLP(有限責任事業投資組合)や財団などからなる事業スキームや中核となって事業を推進していく企業が明確となっていないなど、事業の推進体制が不明瞭である。
事業費の資金調達の方法として、市民や企業から広く寄附金を募るとしており、市民参加の促進という点では有意義な手段であると考えられる。しかしながら、現時点で寄附金が集まる見通しが十分に明らかにされておらず、仮に寄附金を予定どおり集めることができなかった場合には、その不足分が市の負担となる恐れがある。

ウ 最終選考の対象としなかった3件の事業計画案の主な評価
【提案番号2 「ヒロシマ「平和の杜」の創造」】
原爆ドームの背景となる景観を改善する目的で広島商工会議所の移転を提案している点は評価できる。また、戦前の中島町をモチーフにした集客施設「なかしまタウン」の設置により賑わいの創出が期待できる。
広島商工会議所等の民間施設の移転を前提とした案であるが、事業主体や事業方法が明確でなく実現性に疑問がある。また、高さ47.5mで建設するとされている広島商工会議所ビルの移転先は、原爆ドームの背景となる地区として建築物の高さを25m以内とするように取り組んでいる区域であり、問題がある。

【提案番号4 「国際こども平和公園」】
建築物の人工的イメージが強く、これからの都市公園にふさわしいかどうか、という点で疑問は残るが、「こども、遊び」をテーマとした集客施設であり、新たな賑わいの創出が期待できる。また、応募者が独立採算により事業を推進していく計画内容となっており、民間活力を十分活用できる可能性のある案となっている。
しかしながら、こうした集客施設は、トレンドの変化が早い昨今にあっては、市民の嗜好の変化に適応できなくなる恐れがあり、施設内容の更新等により長期にわたり事業の持続性を保つことができるかどうか懸念される。

【提案番号5 「市民がつくる来望(きぼう)の丘構想立体型都市公園ひろしまミュージアムパーク」】
広島県の伝統芸能である神楽の専用ホールや岡本太郎の壁画「明日の神話」の設置など、集客のための工夫が見受けられる。
しかしながら、複数の施設に一体感がなく、複合化による相乗効果が期待できないと思われる。また、事業費を全額市の後年度の分割負担とするなど、民間活力を十分活用した提案とはいえない。



4 選考委員会の開催状況
 
(1) 開催状況
 平成18年11月27日 第1回選考委員会開催
委員長及び副委員長を選出するとともに、応募要項の審議を行った。
 平成19年 4月14日 第2回選考委員会開催(第1段階の選考)
6件の事業計画案について、応募者からのヒアリングを行った。
提出書類やヒアリング結果を基に評価を行い、最終選考の対象として、3件の事業計画案を選考した。
 平成19年 5月27日 第3回選考委員会開催(最終選考)
追加資料に基づき3件の応募者から再度ヒアリングを行った。
追加資料及びヒアリング結果を基に審議を行った。その結果、選考案は絞り込まれたが、さらに整理すべき事項があり、最終選考には至らなかった。
 平成19年 8月23日 選考結果の報告
最終選考を行い、委員長から市長に選考結果を報告した。
(2) 評価方法
以下の「評価の視点」及び「具体的な評価項目」に照らして総合的に評価した。
評価の視点 具体的な評価項目 説     明
(1)
施設の機能や内容に関する評価
[1]公園施設としての適合性 
(公園施設としての機能、緑地やオープンスペースの確保)
緑地や広場機能を十分に備え、都心部における緑豊かで美しい都市空間の形成に資する計画となっているかどうか。
[2]都心活性化への寄与
(集客性、歴史性、文化性、独自性、メッセージ性)
機能や施設の内容が、広島市において新たな都市機能の導入や既存機能の拡充であり、かつ、将来性があって、多くの集客が期待できる魅力を有しているかどうか。
[3]景観形成への貢献
(国際平和文化都市ひろしまを象徴する景観の形成、平和記念公園の軸線への配慮)
平和記念公園の軸線を考慮した施設配置や高さが計画されているかなど、原爆ドーム周辺にふさわしい雰囲気と調和する景観に配慮しているかどうか。
(2)
民間活力の活用による事業の実現性に関する評価
[1]事業方式を含めた事業実施体制の確実性 事業の実施に当たり、応募者(グループの中核者等)が十分な資力、信用力、技術力、事業推進能力を有しているかどうか。
事業者と市との役割分担や関連事業者との協力関係が明確となっているなど、施設の整備を確実に行うことができる事業実施体制となっているかどうか。
また、安定した施設運営を行うことができる管理運営体制となっているかどうか。
[2]事業収支計画など財務面の妥当性、健全性 施設の整備・運営費用が妥当といえる金額で設定されているかどうか。また、事業者が独立採算により施設の整備・運営を行うことができる収支計画となっているかどうか。
[3]市が負担する内容とその金額 各事業計画案に示されている市が負担する内容の妥当性や金額(緑地・広場などオープンスペースの整備に要する金額、及びそれ以外の施設の整備・運営に関し市に支援を要請する金額も含む)について評価する。



5 選考経緯
 
(1) 「広島市民球場跡地利用検討会議」における提案の選定
ヤード跡地に新球場を建設することに伴う現球場跡地利用の検討にあたり、市ではできるだけ多くの市民の意向を把握するため、平成17年11月15日から平成18年1月20日にかけて、市民から提案を募集するとともに、地域団体や市民団体等からの提案、意見を聴取した。また、市の厳しい財政状況を踏まえ、民間の活力とノウハウを活用することを基本に、実現性の高い跡地利用案を検討するため、民間事業者等から提案を募集した。
その結果、市民や各種団体等から377件、民間事業者から26件という非常に多くの提案が寄せられ、地元経済4団体からも提言が出された。
平成18年3月8日に、学識経験者で構成する「広島市民球場跡地利用検討会議(委員長:三井所清典氏)」(以下「検討会議」という。)が設置され、市民や民間事業者から出された提案や意見を踏まえ、現球場跡地の利用のあり方が検討された。その結果、検討会議において、現球場の跡地利用については、「これまでの都市づくりの歴史を踏まえ、将来を見据えて、都心部における緑豊かで美しい空間づくりをめざすこと」や、「平和記念公園と連携し、世界遺産である原爆ドーム周辺の雰囲気と都市的なにぎわいとのバランスがとれた空間づくりをめざすこと」が基本理念とされた。また、時間軸を考慮した空間づくりのあり方や中央公園にある周辺施設を含めた空間づくりの方向性が示された。
この基本理念及び空間づくりの方向性等に基づき、民間事業者から出された26件の提案の中から11件の提案が選定された。
選定された提案は、いずれの提案も、世界遺産である原爆ドーム周辺の雰囲気と調和する景観形成への一定の配慮があり、今後検討を深めれば、市民のみならず国内外から多くの人々が訪れたくなる魅力のある都市空間となる可能性があるとされた。
しかしながら、「公園としての質と施設の適合性」や「民間活力の活用による実現可能性」、「景観形成への配慮」などの面において、いずれの提案も検討すべき課題があり、資金確保に関して、市の相当な負担を前提にしているものなど、大きな課題があるとされたものも含まれており、今後さらに検討を深めていく必要があるとされた。
《選定された11件の提案》
(提案名) (主要な施設)
平和祈念堂 市民の森
水な都(みなと) Mother's Stage 都市型水族館
THE PLAZA 観光・交流施設
LOVE&PEACE 平和の国 LOVE&PEACE ミュージアム
ひろしま市民ガーデン「ひろっぱ」 広島デルタ'45
Sports Colosseum構想 スポーツフィールド
市民が創る『来望(きぼう)の丘』構想 ひろしま文化ミュージアム
ヒロシマ平和の杜の創造 平和の杜
植物園 植物園
Hi (Hiroshima)! キッズ おしごと体験タウン(キッズシティ)
国際こども平和公園 世界こども平和館

(2) 「広島市民球場跡地事業計画案及び事業予定者選考委員会」の設置及び事業計画案の募集
検討会議において選定された11件の提案者から具体的な事業計画案を募集するため、広島市民球場跡地事業計画案及び事業予定者選考委員会(以下「選考委員会」という。)を設置し、平成18年11月27日に第1回選考委員会を開催し、応募要項の審議を行った。
応募に当たっては、検討会議から報告された「現球場(広島市民球場)の跡地利用の方向性について」に示された基本理念や空間づくりのあり方等を十分踏まえること、また、提案の施設計画や事業計画等について検討を深めるとともに、あわせて報告に示された「検討すべき課題」を解決するための変更を行い、施設内容の質や事業の実現性を高めた事業計画案を提出することを応募要項に明記した。
この応募要項に基づき、平成19年1月24日から同年3月26日にかけて、11件の提案者から具体的な事業計画案を募集したところ、6件の応募があった。
《応募された6件の事業計画案》
提案番号 提 案 名 応募者名 代表企業 構成員
平和祈念堂
(Orizuru Forest平和を祈念する折り鶴祈念堂と市民の森)
Thousand Cranes 株式会社池原義郎・建築設計事務所 (株)ワコールアートセンター
(株)シンク・コミュニケーションズ
ヒロシマ
「平和の杜」の創造
F.O.M.
グループ
復建調査設計株式会社広島支社 大旗連合建築設計(株)
(株)増岡組広島本店
水な都(みなと)
Mother's Stage
Team国境のない地球公園 エヌ・ティ・ティ都市開発株式会社 (株)東畑建築事務所
鳳コンサルタント(株)
国際こども平和公園 GROUP GREEN 株式会社環境デザイン研究所 (株)アーバンコーポレーション
(株)デネフェス計画研究所
(株)ユーディーエー
(株)丹青社
(株)集客創造研究所
市民がつくる
来望(きぼう)の丘構想
立体型都市公園
ひろしまミュージアムパーク
ひろしまミュージアムパーク事業体 株式会社LAT 広島ガス開発(株)
森信建設(株)
大昌工芸(株)
(株)ステージユニオン広島
タカオ(株)
ひろしま市民ガーデン世界のひろっぱ チームつばえる・ガルテン 中電技術コンサルタント株式会社 (株)中国博報堂
(株)へッズ

※提案番号は提出順
(3)
選考委員会における第1段階の選考
応募のあった6件の事業計画案を対象に、平成19年4月14日に第2回選考委員会を開催し、応募要項に基づき第1段階の選考を行った。
6件の事業計画案は、いずれも検討会議から報告された「現球場跡地利用の方向性について」を踏まえ、緑豊かな美しい空間づくりや多くの人々に訪れてもらうための様々な工夫、原爆ドームと調和した景観形成への配慮がなされているなど、施設の内容やデザインは興味深い提案であった。
選考にあたっては、応募者からの提出書類やヒアリング結果を踏まえ、応募要項に示した「[1]施設の機能や内容」と「[2]民間活力の活用による事業の実現性」の2つの視点により総合的に評価した。
その結果、応募のあった6件の事業計画案のうち、下記の3件を最終選考の対象として選考した。
 提案番号1:「平和祈念堂(Orizuru Forest平和を祈念する折り鶴祈念堂と市民の森)」
 提案番号3:「水な都(みなと) Mother's Stage」
 提案番号6:「ひろしま市民ガーデン 世界のひろっぱ」

この3件については、他の案に比べて優れた提案であり、いずれも新たな広島の文化力を高めるための拠点となり、デザイン力及び市民の知恵や力を結集して、地域全体の価値をより高める可能性を秘めている提案であると考えられる。
また、事業性の面においても、市民のニーズや時代の変化に応じて段階的な成長が期待できる事業内容であると考えられる。
しかしながら、民間活力の活用による事業の実現性の面において不明な点があることから、この3件の応募者に対し、さらに検討を深めていただくこととした。
最終選考の対象とならなかった3件の事業計画案についても、施設の内容やデザインについては一定の水準に達していたと考えられるが、民間活力の活用による事業の実現性や持続性の面において、今後検討を深めていただいても確度の向上に限界があると考えられるため、最終選考の対象とはならなかった。
(4)
選考委員会における最終選考
最終選考の対象として選考した3件の応募者に対し、平成19年4月23日から5月23日にかけて、事業の推進体制や資金調達の方法、民間の事業リスクなどについて詳細に検討していただくとともに、必要に応じて、より良い事業計画案とするための修正を行っていただくため、追加検討を依頼した。
各応募者から提出された追加資料を基に、平成19年5月27日に第3回選考委員会を開催し、応募者から追加資料に基づくヒアリングを行い、その結果を踏まえ、3件の事業計画案について評価した。
その結果、選考案は絞り込まれたが、さらに整理すべき事項があり、最終選考には至らなかった。
その後、選考結果について、委員長及び各委員による調整を経て最終選考を行い、平成19年8月23日に委員長から市長に選考結果を報告した。

このページに関するお問い合わせ先

都市整備局 都市機能調整部 旧市民球場跡地担当
電話:082-504-2758 /  FAX:082-504-2309
メールアドレス:toshi-k@city.hiroshima.lg.jp