記念撮影の際、無理やり男性上司の膝の上に座らされ、ショックから精神バランスを崩して休職。治療後、復職を願い出たが認められず、逆に退職勧奨を受けた-。7年前、大手事務機器販売会社の退職を余儀なくされた千葉市の女性が、自身が受けたセクシュアル・ハラスメント被害について生々しく証言した。大勢の同僚社員の前で受けた屈辱の経験。女性は「国や事業主は、セクハラの罪の重さを強く認識してほしい」と訴えている。(木ノ下めぐみ)
■逃げられないよう…別の男性社員には腕をつかまれ
「数分間の出来事が、私にとって、とてつもなく長く感じられた」
平成17年5月、自身が幹事を務めた会社のパーティーでのことだった。記念撮影を行う際、上司のひざの上に無理やり乗せられ、逃げ出せないよう、別の男性社員に左腕をつかまれた。周囲は誰も制止してくれない。撮影後、上司から、からかうようなわいせつな言葉もぶつけられた。
数日後、スーツ姿の男性が多く乗車するラッシュ時の電車に乗れなくなるなど、体に変調をきたした。PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断された。翌18年4月から、女性は休職した。休職中には、会社やセクハラの加害者が怖くて、外出もままならない日々を過ごした。
治療を受け、一定回復した女性は21年、休職期間の満了を前に復職を相談した。すると、会社側はこれを認めず、逆に退職を勧めたという。女性はいたたまれなくなり、休職期間満了日の翌日付で、25年以上勤めた会社からの退職を余儀なくされた。会社に命じられて引き受けたパーティーの幹事だったが、業務には当たらないとして労災も認められなかった。
■「会社の名前汚すのか」
損害賠償を求めた訴訟ではセクハラ認定を受けたが、被害の程度は軽いと判断されたという。相談に乗ってくれたはずの上司には「会社の名前を汚すのか」と、問題にするのをやめるように言われた。
その後、「女性が低く見られる社会は未熟だ」として、社会の風潮を変えるためには自身の体験を話す必要があると考え、支援団体のセミナーで、初めて自らの経験を語り始めた。
厚生労働省が外部機関に委託し、就業経験のある25~44歳の女性1万人から回答を得た昨年秋の調査では、うち3割弱がセクハラを受けた経験があると打ち明ける一方、6割超が泣き寝入りしていた実態が明らかになった。
被害を証言した女性は「セクハラの罪の重さを国や事業主にもっと認識してもらわないと、女性の活躍の場が広がるほど苦しむ人が増える」と訴えている。
Yahoo!ニュース 特集(深層クローズアップ)
あわせて読みたい
-
セクハラ「被害経験ある」3割弱…6割が泣き寝入り 厚労省1万人女性調査、被害申告で解雇事例も 産経新聞 4月4日(月)21時33分
-
鳩山元首相、日中関係悪化は「日本に責任。脅威論あおるな」右傾化は2位の経済大国への嫉み? 産経新聞 4月4日(月)20時45分
-
10円値上げのガリガリ君、おわびCMが話題に 「潔すぎる」「なんだか許せる」との声も 赤城乳業に聞く withnews 4月5日(火)7時0分
-
接触された車の女性死亡 歩道の女児も巻き込まれる 毎日放送 4月4日(月)19時18分
-
「容疑者、女子高生アニメに熱中」記事に批判多数 反発の背景にあるもの withnews 4月5日(火)7時0分
読み込み中…