【ドバイ=久門武史】イランのザンギャネ石油相は3日、3月の1日あたりの原油輸出量が200万バレルを超えたことを明らかにした。核問題をめぐる経済制裁が1月に解かれてから同国が原油の輸出を増やしたことが分かり、原油の需給調整が遅れ、価格低迷が長引く可能性がある。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)などが伝えた。
イランの原油輸出量は1カ月前に比べ、1日あたり25万バレル増えた。世界的な供給過剰を受け、主要産油国は増産を凍結する計画だが、サウジアラビアのムハンマド副皇太子はイランが参加しない場合は計画に加わらないと表明している。イランの輸出増が明らかになったことで、サウジ不参加の可能性が出てきた。
イランは経済制裁でダメージを受けた販売網の回復を優先する考えで、これまでも増産凍結には応じない考えを示してきた。産油国は17日に会合を開き、原油価格の下支えなどについて話し合うが、足並みがそろうかどうか情勢が不透明になってきた。
原油安はロシアやブラジルも含めた資源国の景気減速につながっており、世界経済の不安要因になっている。