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 元航空幕僚長・田母神俊雄氏(67)の資金管理団体で多額の政治資金が使途不明になっている問題をめぐり、田母神氏は4日、朝日新聞の取材に応じ、「陣営が選挙後、運動員の少なくとも3人に現金を配った」と述べた。公職選挙法は運動員に金品を贈ることを原則として禁じており、同法違反(買収)にあたる可能性もある。

 田母神氏の説明によると、2014年2月の東京都知事選で落選した約1カ月後、選挙対策本部で事務局長を務めた男性から「選挙の慰労として計2千万円を配ろうと思う」と相談を受けた。田母神氏はいったん「わかった」と了承したうえで、金額が多いと考え直し、「やはり賛同しかねる」と答えたという。

 だが、その約10日後、現金を受け取った1人から「ありがとうございました」と伝えられた。その時点で現金が配布されたことを知ったが、「当時はそれが法に触れるという認識はなかった」という。

 公職選挙法は、陣営が事前に届け出た事務員や手話通訳者らを除いて、運動員に金品を与えたり、与える約束をしたりすることを禁じている。田母神氏は後に、2千万円の中から事務局長が200万円、会計責任者が50万円をそれぞれ受け取ったことも知ったが、これまで公表してこなかったという。「いろんな人に迷惑がかかると思っていた」と説明している。

 この問題をめぐっては、東京地検特捜部が3月、田母神氏の政治資金の一部が私的に使われた疑いがあるとして、業務上横領容疑で田母神氏の自宅や関連事務所などを家宅捜索している。