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「容疑者、女子高生アニメに熱中」記事に批判多数 反発の背景にあるもの

withnews 4月5日(火)7時0分配信

 埼玉県朝霞市の女子中学生が行方不明になり、2年ぶりに保護された事件。逮捕された容疑者の人となりについて「アニメに熱中」と伝えた一部スポーツ紙の記事に、ネット上で反発の声が相次いでいます。別のスポーツ紙もアニメを「犯罪と結びつけることに違和感を感じる声があるのも仕方がない」との記事を掲載。こうした現象をどのように考えればいいのか、アニメ評論家の藤津亮太さんに聞きました。

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「またアニメ叩きか…」

 「オタク=犯罪者予備軍の認識を助長している」「またアニメ叩きか…」。これらは先月29日付「日刊スポーツ」に掲載され、その後同社ニュースサイトでも配信された記事に寄せられたツイッター上の声です。

 記事では、容疑者の同級生や近所の住民などの証言が伝えられています。その中で高校時代の同級生の話として、人気学園アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」に熱中していてカバンにキーホルダーを付けていたというエピソードが盛り込まれています。サイト上の記事見出しは「女子高生アニメに熱中…寺内容疑者の素顔同級生語る」(4日17時現在)というものです。

東スポ「違和感 仕方ない」

 この記事を批判的に取り上げたのは「東京スポーツ」。同社はウェブ版で「女子中学生監禁男『女子高生アニメに熱中』記事にアニメファン反発」という記事をいち早く配信しました。ネット上での抗議の声を紹介した上で、こう主張しています。

 「近年でも犯人がアニメや漫画好きだった場合にはその点がクローズアップされ、あたかも異常犯罪の原因のように扱われるが、アニメと犯罪に明確な因果関係はいまだ提示されていない」

 「一方『犯人はプロ野球のファンで…』と他の趣味ではアニメのような言及をされることはない」

 「若い世代にとってアニメは一般的な趣味といえ、犯罪と結びつけることに違和感を感じる声があるのも仕方がない」

 「短絡的にアニメと犯罪を結びつける報道姿勢からの脱却が求められている」

反発の理由は?アニメ評論家に聞く

 そもそも、アニメファンからこうした反発が聞こえてくるようになった背景には、どのような理由があるのでしょうか。新聞記者や週刊誌編集者の経験があるアニメ評論家の藤津亮太さんに尋ねました。

 藤津さんはまず、1988~89年にかけて東京や埼玉で起きた連続幼女誘拐殺人事件での報道に触れます。

 「報道では意図的にエロマンガ雑誌をクローズアップした写真が撮影され、約6000本のビデオの中にある50本たらずのいかがわしいビデオのことだけが、こちさらクローズアップされました。個人の犯罪とマンガ・アニメなどの趣味のことが結びつけられて報じられたんです。(今回の反発も)このことが根っこにあると思います」

 藤津さんは「容疑者の人間性に迫る報道そのものが、紋切り型になりすぎている」とも話します。「新聞・TV・週刊誌などの速報性を求められる媒体では、報道被害のほうが影響が大きく、時代遅れになってきていると考えています」

 「メディアの報道に対して、それは間違っているのではないかと読者の立場から意見が出てくるのは、むしろ望ましい状況なのではないでしょうか。報道内容について動的平衡状態を作ることが大事と考えます」

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最終更新:4月5日(火)7時0分

withnews

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