いかだドメインの仕組み解明 ウイルス侵入の鍵
生物の細胞膜にいかだのように浮かぶ分子の集まり「いかだドメイン」の仕組みを、京都大物質-細胞統合システム拠点の楠見明弘教授や鈴木健一准教授らが突き止めた。ウイルスの感染などに関係する構造とされ、侵入過程の解明につながる。米科学誌に5日、発表する。
細胞膜はリン脂質やコレステロール、タンパク質などでできている。人工的な膜を用いた実験を基に、細胞膜上の糖脂質「ガングリオシド」は特定のタンパク質、コレステロールといかだドメインを作ると推測されてきたが、これまで観察の成功例はなかった。
研究グループは、ガングリオシドの特定の部位に蛍光色素を着ける手法でハムスターの細胞を観察。ガングリオシドと特定のタンパク質、コレステロールがいかだドメインを作り、3種類の構造に変化することを発見した。情報伝達に関わる分子が細胞外からいかだドメインに達すると、3種類のうち最も安定的な構造になることも分かった。
鈴木准教授は「ウイルスなどはいかだドメインを使って細胞内に侵入すると考えられる。今後、研究を進めて、ウイルスの侵入を阻止する薬剤開発にもつながれば」と話している。
【 2016年04月05日 00時10分 】