カルドセプトシリーズというゲームがある。このシリーズはリメイクが多く、SSとPS世代のもの、そこから移植されたDS世代のものでカード内容に差異があれどゲームデザインはほぼ一緒だ。
そしてこのシリーズには名作セカンドと悪名を作ってしまったサーガがあり、セカンドはDC・PS2・3DS用に作られている。ここで問題が発生する。
最近の人たちはサーガ→DS→3DS版を通ってきていることが多く、おおむね10年前以上の作品であるSS版はおろかPS版にも触れたことがない。
先日wikiを見ていると、今回不採用のカード一覧、というページが荒れていた(といってもタイムスタンプは去年だが)。
主に議題とされたのは、DS→3DS版で不採用のカードを載せるべきという意見と、元々PS2の移植なのだから比較はPS2→3DSでおこなうべきだという意見だ。
旧版を知っているユーザーからすれば3DSとDS版を比較することはPS版(カルドセプト・エキスパンション)とPS2版(カルドセプト・セカンド・エキスパンション)を比較する所行に等しいもので、
DSから入った人にはそれが分からない。旧版を知る人からはPS2→3DSという文脈が明確に存在しているためDS→3DS比較が文脈無視にしか見えないのである。
PS2版(DC版)を知っている人からすればDS版(PS・SS版)と比較して違いすぎるのは当然なのだ。なぜならそれはシリーズの別作品として捉えられるからだ。
とても乱暴な言い方をすればあまりシリーズの空気を踏襲しなかったサーガと3DSを比較するくらい見当違いな比較だ。
しかしDSからはいった人にはリメイクという文脈が通じないために、DS→3DSで比較するのは当然、という意識が形成される。
このような経緯がありwikiは荒れてしまった。結局文脈の知識とは何だろうかと考えたとき、文脈知識とともに入ってくる経験が伴わなければ文脈として認識されないのではないか、と感じる。
たとえDSの人たちがSS・PS版を知ったところでファーストコンタクトは紛れもなくDS版で、実感的に他はSSのリメイクという意識なんて起こりようがない。
この話は新旧カード比較という項目の話であり、目線を一般に戻せばカルドセプトは有名でもないぽっと出の「ずっと僕のターン」という流行語を作った存在でしかない。
これはこれで文脈を知らずに批判する恐ろしさを端的表している。サーガ以外は今でも高い評価を得ているからだ。
しかし文脈が幅をきかせすぎると過去にとらわれて新しいものを生み出しにくくなることはよく知られたことだし、知識の死蔵によりただ知ってることを自慢する輩がはびこるのもまた確かなことだろう。