【移民危機】ギリシャ 移民のトルコ送還を開始
- 2016年04月4日
ギリシャは4日、欧州連合(EU)とトルコの間に先月結ばれた合意に基づき、移民のトルコ送還を開始した。
欧州対外国境管理協力機関(フロンテックス)によると、ギリシャ・レスボス島から4日朝に136人の移民を乗せたフェリー船がトルコに向け出航し、トルコ西部のディキリに到着した。移民の多くはパキスタン人。同日中にヒオス島からも移民を乗せたフェリー船が出る予定となっている。
一方、ドイツ当局によると、トルコから来たシリア人移民16人が同国に到着した。
トルコからギリシャに非合法に渡航した移民が難民申請をしなかったり、申請が認められなかった場合にはトルコに送還され、トルコに送還された移民と同数の合法的な手続きを済ませた移民をEUが受け入れる、というEUとトルコの合意をめぐっては、人権団体から反対の声が上がっており、制度が準備不足だとの指摘も出ている。
トルコは今回の合意で、経済的な支援や政治的譲歩を勝ち取っている。
人権団体は、移民たちにとって送還先のトルコは安全な国ではないと指摘。トルコは否定しているものの、アムネスティー・インターナショナルは、トルコが非合法的にシリア人たちを母国に送り返していると主張している。
<用語について> BBCは、亡命申請の法的手続きを終えていない、移住中の人すべてを「移民」(migrants)と呼んでいる。この中には、戦争で引き裂かれているシリアのような国を逃れて移動し、難民認定される可能性の高い人たちも含まれる。また、各国政府に「経済移民」と分類される可能性の高い、より良い職業や生活を求めて移動している人たちも、「移民」に含まれる。