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民主党大会 自らが強くならないと

 民主党の定期党大会が開かれた。甘利明前経済再生担当相が辞任して安倍政権の屋台骨が揺らぐ中、民主党にとっては反転攻勢に出るきっかけとしたかった大会だろう。だが、夏の参院選に向けて展望が開けたかといえば決してそうではない。

     岡田克也代表は大会で、焦点となっている維新の党との連携について「新党結成も選択肢として排除されていない」と述べるにとどまった。

     3月末までに結論を出すという新党問題では民主、維新双方に温度差があり、民主党内の意見もまちまちだ。より深刻なのは仮に新党ができても、それでイメージを一新できるのか、その保証もないことだろう。

     気になる一件がある。

     「民主党は嫌いだけど、民主主義は守りたい」「すぐに信じなくてもいい。野党として、止める役割をやらせてください」−−。参院選用に同党が発表した3種類のポスターの一つにはこんな文章が並ぶ。党に対する国民の厳しい視線を認めたものではあろう。だが、このコピーは自虐的というよりも、あまりにひ弱で主体性がなさ過ぎるのではないか。

     確かに参院選は政権交代には即座に結びつかない。衆院で多数を握った自民党のおごりを戒めるため、多くの有権者が野党に投票した参院選もかつてはあった。

     しかし、自民党に代わって政権を担うというのが民主党結党の原点であり、一度は政権交代を実現したのだ。岡田氏はこの日、「政策・理念が共有され、本気で政権を担う政治勢力ができるかどうかが最も大切だ」と語ったが、このコピーでは政権に抵抗するだけの野党に舞い戻るつもりなのかと疑ってしまう。

     もう一つのポスターにある「一強打破」のコピーも同じだ。自民党の「一強」状況を変えるためには、有権者に懇願するより先に、まず民主党自らが強くなればいい話だ。

     民主党が掲げる「1人ひとりを大切にする国」との理念が間違っているとは思わない。先の代表質問で岡田氏が安倍政権への批判だけでなく「提案」に重きを置いた点も評価したい。必要なのは理念を実現するための具体的な政策だ。

     憲法や安全保障政策に関しては、依然、党内の意見はまとまっていない。参院選は憲法改正も大きな争点になりそうだ。その際、「安倍晋三首相のもとでの改憲は危険で反対」というだけでは、政権を目指す党としては無責任だ。当面、改憲する必要はないと考えるのか、改憲するとすれば、どこから変えていくのか。これも具体的に示す必要がある。

     難問を先送りせず、とことん党内で詰めていく作業から、「強さ」は生まれてくるはずだ。

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