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高浜原発再稼働 集中立地の危険直視を

 関西電力高浜原発3号機(福井県高浜町)が再稼働した。原子力規制委員会の新規制基準に合格した原発の再稼働は、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)に続き3基目となる。

     私たちは、事故時の対応を含めた原発の安全性確保と脱原発依存の道筋を政府が示すことを条件に、必要最小限の再稼働は容認する立場をとってきた。現状ではいずれの条件も満たされておらず、高浜原発の再稼働に賛成することはできない。

     高浜原発が立地する若狭湾一帯には、関電の11基をはじめ計15基の原発(廃炉中の4基を含む)が集中する。関電は高浜4号機も来月、再稼働させる方針で、その後も大飯原発3、4号機(福井県おおい町)などの再稼働を目指している。

     東日本大震災の経験に照らしても、自然災害やテロ行為で若狭湾一帯の原発が同時に緊急事態に陥りかねない。核燃料が大量にある原発は、稼働していなくともリスクがある。こうした集中立地の問題点を、規制委も政府も直視していない。

     規制委は、新規制基準の策定で、集中立地規制に踏み込まなかった。

     事故時の住民避難計画の策定が義務づけられる高浜原発30キロ圏内の自治体は、地元福井と京都、滋賀の3府県にまたがる。政府は3府県の避難計画を了承したが、計画が想定するのは高浜原発の事故だけだ。

     高浜3、4号機は、新規制基準下では初めてプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使う「プルサーマル発電」を実施する。

     MOX燃料は通常の核燃料に比べ核反応を調節する制御棒の利きが悪くなるなど、安全性への懸念が以前から指摘されている。

     また、使用済みMOX燃料は、具体的な処理方法が決まっていない。高浜原発は再稼働後7〜8年で使用済み核燃料の貯蔵プールが満杯になる見込みだ。関電は2020年ごろまでに中間貯蔵施設の場所を福井県外で決める方針を示しているものの、難航は必至だ。

     過酷事故が起きれば、住民は府県境を越えて広域避難する。計画の実効性を高めていくには、訓練の実施が不可欠だ。ところが、広域避難訓練はまだ実施されていない。多くの自治体は、避難が計画通りに進むのか不安を抱えている。避難先の自治体の受け入れ準備も、整ったとは言えない状況にある。

     再稼働の同意手続きで、立地県以外の自治体の意見を反映する仕組みも不十分なままだ。

     こうしたいくつもの課題を置き去りにしたまま、政府と電力会社が再稼働に前のめりになっていることには、大きな疑問がある。

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