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日本の寄付文化 広める方法工夫したい

 個人で寄付する日本人が増えている。東日本大震災をきっかけに寄付が広がったが、欧米などに比べればまだ少ない。

     災害や高齢化、貧困問題などに税金だけでは対応できない今、寄付の文化を広めたい。

     寄付集めを支援するNPO法人「日本ファンドレイジング協会」(東京)は昨年3月、インターネットを通じて調査を行い、9564人から回答を得た。

     それによると、43・6%が2014年に「寄付した」と答えた。震災があった11年の68・6%よりは低かったが、10年の33・7%を大きく上回った。14年に寄付したと回答した金額は平均で1人約1万7000円だった。

     ふるさと納税の利用も寄付を後押ししている。今年度上半期で総額約453億円に上り、昨年度の同時期の4倍近くになっている。

     米国ではIT大手のフェイスブックのザッカーバーグ最高経営責任者が昨年、保有する同社株式の99%(当時の株価で約5兆5000億円)を寄付する意向を明らかにした。

     裕福な人が貧しい人を支援する文化が米国社会に定着していることが大きい。

     日本でとくに寄付への関心が低いわけではない。寄付した人への税制上の優遇も拡大され、個人が寄付をしやすくなった。

     ただし寄付を増やすには受ける側の工夫がいっそう必要だろう。

     日本ファンドレイジング協会の調査によると、日本人が寄付する団体を選ぶ時に最も重視するのは「寄付の使い道が明確で、有効に使ってもらえること」や「活動の趣旨や目的に賛同できること」という。

     同協会の担当者は「寄付がどのように使われたのかを寄付者に伝える仕組みがあれば、寄付した達成感につながる」と指摘する。

     寄付しやすい仕組みも必要だ。

     あるベンチャー企業は運営するサイトで協賛企業を募り、NPOなどの活動を紹介している。利用者が「応援する」のボタンを押し、ポイントがたまればNPOは協賛企業から寄付を受けられる。企業はこのサイトを、自社の社会貢献活動を発信する場として利用できる。

     手続きが簡単なクレジットカードによる寄付を広げることも有効だ。

     ふるさと納税制度を使った災害被災地への寄付も増やしたい。豪雨の被害を受けた茨城県常総市へのふるさと納税は特産品などの「見返り」がなくても、発生時から現在まで約2億円に上っている。

     もちろん、寄付は金額の多寡だけが大事ではない。少額でも寄付をする人が増えていく社会が望ましい。

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