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電力販売自由化 消費者の利益が肝心だ

 家庭向けの電力販売が4月に自由化される。それに先だって、新規参入事業者(新電力)や大手電力会社の新料金プラン発表が相次ぎ、前哨戦は熱を帯びてきた。

     自由化を幅広い消費者の利益につなげたい。それには、なお解決すべき課題が少なくない。

     2000年に大規模事業者向けから始まった自由化は段階的に対象を広げ、今回ですべての需要者が自由に電力会社を選べることになる。

     資源エネルギー庁に登録した新電力は130社を超えた。都市ガス、石油元売りといったエネルギー産業のほか通信、旅行など異業種からの参入も多い。

     家庭向けの電気料金はこれまで政府の規制により、コストに一定の利益を上乗せする総括原価方式で決まっていた。自由化で各社の裁量による料金設定が認められ、消費者は従来の規制料金か新料金かを選べる。

     各社の新料金は大半が、使用量が増えるほど従来料金と比べた割安感が強まる設定になっている。単身者ら使用量の少ない家庭では新料金の方が割高になる場合もある。

     都市ガスやガソリン、携帯電話などのサービスと抱き合わせで契約すれば割引率が高くなるプランも目立つ。どのサービスをどれだけ利用するかによってメリットが変わるため全体的な損得勘定は分かりにくい。

     電力会社は消費者の誤解を生まないよう、料金プランの特徴や規制料金との比較などについて丁寧に説明する必要がある。

     新料金には2年契約を前提にし、中途解約する場合に違約金を取るものもある。異業種からの参入業者がそうした特約を使って、本来の事業での顧客囲い込みを図るようなことがあってはなるまい。公正な競争環境を実現するため、政府も目を光らせてほしい。

     再生可能エネルギー中心なのか原発依存なのか、そんな電源構成を電力会社選択の基準にしたい消費者もいるはずだ。政府は構成比の公表を努力目標にとどめる方針だが、事業者は積極的に情報公開して消費者の判断に委ねるべきだろう。

     さらに、気がかりなのは新規参入が首都、近畿、中京の3大都市圏に集中し、競争による利益を得られる地域が限られていることだ。

     それでも規制料金が残る間は、地方でも現在の料金水準は維持される。しかし、政府は20年をめどに規制料金を全廃する方針だ。そうなれば過疎地などでは料金が跳ね上がるおそれがある。

     地方に自由化の弊害を押しつけてはなるまい。自由化の恩恵を幅広く及ぼすには、制度設計に一段の工夫が必要だ。

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