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銚子電鉄を応援しよう! 地元の農・商・工の3高校が異色コラボで完成させたオリジナル商品「デキ3焼き」って何だろう?
更新千葉県銚子市を走る銚子電鉄の経営再建を支援しようと、地元3校の県立高校生による新商品の開発が始まった。観音駅の売店で販売している名物のたい焼きをアレンジしたもので、東総工業高校(同県旭市)の生徒が、電気機関車や駅舎の形をした特製の鉄板を提供。今後は商品化に向け、銚子商業高校(銚子市)がレシピを考案し、卵などの原料は旭農業高校(旭市)が生産したものを使う予定だ。生徒らは「銚子電鉄と地域のために役立ててほしい」と、思いを語る。
鉄板寄贈きっかけに
3校によるコラボレーションは、今年卒業した東総工業高の生徒が、授業で学んだ技術を生かして作った2種類の鉄板を銚電に寄贈したのがきっかけ。これを活用し、銚電が保有する国内最小の電気機関車「デキ3」の形をした「デキ3焼き」と、洋館風の駅舎をモチーフにした「観音駅焼き」の商品化を目指している。
3月10日には鉄板の贈呈式が観音駅で行われ、試作品が披露された。竹本勝紀社長は「鉄道ファンや子供たちに人気が出る」と出来栄えに太鼓判を押し、新名物の誕生に期待を寄せた。
試作では、たい焼き用の生地とあんこを使ったが、銚電担当者は「あんこを入れずに、マフィンのような焼き菓子を目指して、高校生と一緒に考えていきたい」と話す。
レシピの考案は、同じ地元の銚子商業高に引き継がれる。同校はこれまでも、生徒による車内販売や、インターネットで車両修理代を約500万円集めるなど、銚子電鉄の支援活動に力を入れてきた。今回の商品開発は、4月から新3年生を中心にスタートする。早ければ、ゴールデンウイークには販売を始めたいという。
東総工が技術提供
寄贈された鉄板は、東総工業高3年の課題研究授業の中で、情報技術科の6人が製造した。銚電への技術提供による支援をテーマに、昨年4月からスタート。観音駅のたい焼きが今年で40年を迎えるのを機に、「バリエーションを増やしたい」という銚電側の要望に応えた。
図面の作成には、CAD(コンピューター利用設計システム)ソフトを使うなど、授業で学んだことを生かした。一方、手作り感を出すため、原型となる木型を彫刻刀で手彫りにすることで、あえてデザインにばらつきを出したという。
同科の生徒の一人は「銚子電鉄は通学で利用していたし、子供の頃、家族と犬吠駅にぬれ煎餅を買いに行った思い出もある。これからの発展のために使ってほしい」と語った。
同校は、電気科の生徒4人がソーラーパネルとLED電球を使った駅名板ライトを作り、犬吠駅に寄贈したほか、電子機器科の6人が、鉄板の加工技術を生かしてデキ3の模型(30分の1スケール)を作り、銚子市小浜町のぬれ煎餅直売所「ぬれ煎餅駅」に展示する。
(千葉総局 城之内和義)