海外事業の状況を十分に把握できていない——。そんな課題を抱えている日本企業は少なくない。一方、海外で起こりうる不正への懸念も高まっている。こうした課題の解決に向け、SAPは段階的な経営情報の見える化、情報管理基盤の整備を提案している。見える化のレベルを高めることで、意思決定の質とスピードを向上できる。
グループ全体の経営状況をもっと迅速に把握したい。海外法人で不正が行われていないか気になる……。日本企業の経営者の多くは、そんな悩みを抱えているのではないか。SAPジャパンの関口善昭氏は次のように語る。
「日本企業の経営層、特にCFOの課題は大きく2つに集約できる。つまり、経営管理の高度化とGRC(ガバナンス/リスク/コンプライアンス管理)だ。前者は主として攻め、後者は守りの経営に資するものといえる」
スモールスタートで
経営情報基盤を整備する
プラットフォーム事業本部
CFOソリューション推進室 専任部長
早稲田大学大学院 非常勤講師
関口善昭
攻めと守りのバランスを取りながら、企業はグローバル経営の質を高めていく必要がある。「攻めと守りの両面で、いっそうのレベルアップを図りたいと考えるCFOが増えている」と関口氏は言う。
まず、経営管理の高度化について。
「従来、日本におけるグローバル企業の多くが、『連邦経営』的なスタイルを採用してきた。現地法人ごとに縦割りの経営管理基盤(組織・ルール・システム)が導入されており、グローバルに統合されていないケースが多い。たとえば、本社が事業や商品、地域など横串の軸で損益やキャッシュフローを見たい場合、現地法人によってデータの粒度が異なっていたり、そもそも見えない軸があったりして、グループ全体の状況を適切に把握できないことがある」(関口氏)
こうした現状のままでは、グローバル経営の可視化はおぼつかない。可視化が不十分なら、迅速な意思決定も難しいだろう。そこで、SAPが提唱しているのがスモールスタートから始めて段階的に拡張していく経営情報の見える化である(下の図表)。
「企業ではさまざまな基幹系システムが動いている。すべてを一気に刷新してグローバルで統一するのは難しい。そこで、既存システムは大きく変えずに経営情報基盤の整備により経営財務KPIをリアルタイムに集められる環境をまず実現し、短期的な効果を得たうえで見える化のレベルを高めていこうと提案している」と関口氏は話す。
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【導入事例】
海外展開する日本企業は「組織のグローバル化」と「間接部門のグローバル統合」をどうやって実現すべきか
・“四位一体”で進めた経営プラットフォームの構築
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・24日かかっていた決算作業は半分で完了
・買収した海外子会社をスムーズにグループ会計に乗せる方法 など
複雑性の時代におけるリスク管理
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・81%の企業がGRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)の複雑さを認識
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