文部科学省が「早寝早起き朝ごはん」国民運動を始めて10年。だが近年、朝食を食べない子の割合は増加傾向だ。そんななか、子どもたちに朝食を出している学校がある。わいわいおしゃべりしながらの朝ご飯。「おなかと心を満たして1日を始めてほしい」。関係者はそんな願いを込める。

■月1回大学生ら協力

 今月1日午前6時半。高知城に近い高知市立第四(だいし)小学校(児童数389人)の家庭科室で、ボランティアの高知大教育学部2年、松岡紗希さん(20)が前日に削り節でとっただしを温め始めた。みそ汁の具のホウレンソウやエノキを刻んでいく。ご飯が炊ける香りが漂い始めた頃、近所の女性たちも準備に加わった。

 「今日は何のみそ汁?」「早起きしすぎてお母さんに怒られた」。朝食会が始まる20分も前の午前7時半、3年生の男の子と女の子が駆け込んできた。この日は児童29人と保護者5人が参加。おかわりする子もいて、みそ汁10リットルとご飯20合はきれいになくなった。

 朝食会は一昨年に始まった。月1回、子どもと保護者ら30~60人ほどが参加する。「飽食の時代だからこそ質素な味わいを」と、献立はみそ汁とご飯だけ。ふだん家で食べる子も食べない子も、会話をしながら朝食をとる楽しさを知ってほしい、というのが目的だ。

 参加費は1回120円。多忙な学級担任は運営には関わらず、調理や後片付けを担うのはボランティアの学生や近くの住民たちだ。

 朝食会を始めた背景には、依岡(よりおか)雅文校長が以前勤務した小学校でかかわった、ある男の子のことがある。