日本近世史・近代史、宗教思想史の研究に大きな足跡を残した一橋大名誉教授の安丸良夫(やすまる・よしお)さんが4日午前、東京都内の病院で死去した。81歳だった。

 富山県生まれ。京都大卒業後、名城大助教授などを経て一橋大教授。定年後は早稲田大で教えた。中世史の網野善彦や西洋史の阿部謹也らと並び、戦後の日本の歴史学界をリードした研究者の一人で、幕末の世直し一揆や自由民権運動などを検討し、斬新な民衆運動論を展開した。

 近代日本の形成論や、社会史的な研究の評価、歴史学の研究史の再検討など、広範な業績を残し、宗教学や社会学にも影響を与えた。「安丸良夫集」(全6巻、岩波書店)ほか多数の著書がある。