取材・構成 藤えりか
2016年4月4日07時07分
俳優・渡辺謙の最新映画「追憶の森」(米国)が29日から公開される。自殺志願者を引き寄せるとされる青木ケ原樹海を舞台としたこの作品への思いを通じて、今のハリウッドについて語ってもらった。(文中敬称略)
■青木ケ原舞台の「追憶の森」、死と向き合う
「追憶の森」のお話を最初にいただいたのは2011年、大震災の後でした。日本をすごく好きな脚本家が、僕を想定して書いてくれました。でもさすがにあの震災の後、この作品の切り口を僕は受け止めきれず、保留にしていました。
ただ、ある意味で仏教的な死生観を持つこの作品にガス・ヴァン・サント監督や主演のマシュー・マコノヒーらも興味を持ったことを非常に驚き、うれしく思いました。この作品の世界観を一緒に考える時間を持てた喜びを感じています。
僕は20代の終わりぐらいに(白血病で)死を突きつけられ、何年か苦しみました。最近も、非常に早期でしたが胃がんの手術をし、人には最期があるのだと改めて認識しました。そのたびに僕は医学の進歩に救われてきたわけですが、精神的にどう受け止めるかについては、進歩のしようがないわけですよ。
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