カイロ=乗京真知
2016年4月4日10時20分
エジプト航空181便が偽の自爆ベルトを巻いた男にハイジャックされた事件で、機長らがカイロ市内で3日、朝日新聞の取材に応じた。男の投降まで約7時間、飲み物を勧めたり写真を撮ろうと誘ったり、乗員が懐柔に手を尽くしたことで、乗客全員の無事解放につながったという。
3月29日午前7時前、約60人が乗る国内線で男(58)が乗務員を呼び止めた。「要求がある」。腹部のベルトを見せつけ、キプロス人の元妻に手紙を渡すよう求めた。ジャメル機長(37)はキプロスに緊急着陸。乗務員が男を後部キャビンに招き入れ、乗客や機長室から引き離した。
男と交渉したのはキャリア10年の女性乗務員ソボルさん(33)。「怖い話はコーヒーを飲んだ後で」などと雑談し、男を落ち着かせた。キプロスに着いて男が態度を和らげると、「必要以上の乗客は解放したら?」と提案。男は大半を解放したという。
同じ頃、別の女性乗務員ディーブさん(29)は、犯人の情報を求めていた治安当局の要望で男を撮影した。カメラを向けるよりツーショットが自然と考え、笑顔で頼むと男は応じたという。
後に「場違い」とインターネットなどで物議を醸したが、ディーブさんは「内心は恐怖で震えていた。プロとして必死でした」と振り返った。男が投降した後に、自爆ベルトが偽物だと知ったという。(カイロ=乗京真知)
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朝日新聞国際報道部
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