大学でホテル外食学を専攻したオム・テユルさん(25)は昨年8月、ソウル市城東区に母親(51)とフライドチキン店を開いた。オムさんは大学を卒業後、1年で数十社の採用試験を受けたが、1社も内定を取れなかった。そんな息子に、母親は「私が資金を出すから一緒に商売をやろう」と持ち掛けた。店では母親が調理を、オムさんが店舗管理とデリバリーをそれぞれ担当している。
昨年2月に大学の体育教育科を卒業した男性(26)は、父親と一緒に起業した。教員採用試験を受けることも考えたが、シミュレーションゴルフ場を経営していた父(60)に一緒に商売をやろうと誘われ、ソウル郊外の京畿道水原市にかき氷チェーン店をオープンした。男性は「起業の先輩である父のノウハウを学ぼうと努めている」と語る。
親子2代が力を合わせて自営業に挑戦する「親子起業」が、韓国で新たなトレンドに浮上している。フライドチキンチェーンのジェネシスBBQが2013年から15年までの3年間に新規オープンした店舗171店を調べたところ、親と子が共同代表を務める店舗は37店、21.6%に達した。この比率は、10-12年にオープンした130店のうちでは8.5%(11店)にとどまっていたが、約2.5倍に拡大したことになる。
専門家はこれについて、一段と深刻化する若者の就職難と、50代のベビーブーム世代の退職が相まって起きたトレンドだと分析している。まとまったカネを手に退職した親世代が起業資金を出し、仕事が見つからない子ども世代が労働力を提供する形で共同経営に乗り出しているのだ。飲食チェーンの関係者は親子起業について「店舗の運営コストを下げられるだけでなく、起業に失敗するリスクも減らせる」と説明。かつて自営業の中心だった夫婦による起業がここ3年間で5%ほど減少した一方、親子での起業は増加傾向にあると伝えた。