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世界中の企業で、優秀な人材を獲得するための熾烈な競争が繰り広げられています。厚生労働省が発表した2015年12月の有効求人倍率は、24年ぶりの高水準の1.27倍となり、労働需給がひっ迫する状況が続いています。IT分野も例外ではありません。
金融や人材、住宅、自動車などのあらゆる産業とインターネットが情報で結びついてきています。今後、リアルの情報がインターネットに接続し、IoT時代が到来するとも考えられており、「IT人材」の需要はますます増えていくことでしょう。
そのような状況で今回考えたいのは、「IT人材」とは何か、そして今どのようなエンジニアが求められているのかということです。この連載を通して、IT部門の組織体制や「IT人材」の採用手法についても考えていきます。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発行した「IT人材白書2015」によると、日本のIT人材はIT企業/ユーザー企業あわせて約111万人。そのうち約半数にあたる56万人が、ソフトウエアの受託開発企業(SIer)に所属しています。
SIerにおけるエンジニアの仕事はエンドユーザー、つまり顧客ありきで成り立っています。SIerと顧客の間では「期日までにシステムをつくるには、この規模のリソースが必要だ」という観点から契約がなされ、人/月で表現されるのが一般的です。営業担当者は受注金額が成果となり、一般的には複雑で大規模な開発案件を提案/受注することが多くなります。そのため、エンジニアはその金額に見合った時間と労力をかけて開発します。
全てがそうだというわけではありませんが、人/月での契約のため、「作ったものを収益化する」のではなく、「作ること」自体で対価を得るのがSIerのビジネスモデルのほとんどです。
「システムを通じてどんな問題を解決するか」という要件を定義し、仕様書を顧客と共に作成するエンジニアがいる一方で、大量生産の考え方で指示書の通りに作業するよう求められたエンジニアやプログラマーも相当数いたと認識しています。限られた経営資源を最大限活用するためには、当時としては有効な手段でした。
ネットテクノロジが私たちの生活に欠かせない存在となるにつれ、SIerは日本のソフトウェア産業をけん引するのみならず、日本経済を支えるものとして存在感を放っています。一方で近年はグローバル化や顧客志向の多様化、ビジネススピードの加速に対応するために、自社内にIT部門を抱える事業会社も増えてきました。
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