核テロ阻止で国際連携、IAEAと協力…閉幕
【ワシントン清水憲司】ワシントンで開かれていた核安全保障サミットは1日、世界レベルでの核安全保障の枠組み強化や核テロ阻止をうたうコミュニケを採択して閉幕した。オバマ米大統領は計4回のサミットを通じ、日本などから核兵器150発以上を製造できる量の核物質が米露両国に移送された成果を示しつつ、「我々の仕事は終わっていない」と表明。国際原子力機関(IAEA)など国際機関を通じ協力を継続する五つの行動計画を策定した。
オバマ氏の提唱で2010年に始まったサミットは、今回が最終回となる。安倍晋三首相ら50カ国以上の首脳や外相らが出席した。
閉幕後の記者会見で、オバマ氏は日本を含む30カ国の核関連施設50カ所以上から、3.8トン超の高濃縮ウランやプルトニウムを移送したと指摘し「大きな意味のある進展があった。この150発以上の核兵器を作ることができる量の核物質は、決してテロリストの手に落ちることはない」と成果を誇った。
ただ、オバマ氏は「世界には安全を確保する必要がある核物質・放射性物質がなお大量にある」と指摘。「今後も継続できる国際的な枠組みをどう構築するかが、サミットの一つの目的だった」と述べ、国際的な協力が重要と訴えた。
各国が合意した行動計画は「サミット後」の国際協調のあり方を示す。IAEAが国際協調の主導的な役割を果たすことを確認し、閣僚レベル会合の定期的な開催を求めた。国際刑事警察機構(ICPO)を通じ、テロリストに関する情報を共有し、国際的な捜査能力の向上を図るほか、対策強化が必要な国への支援など国連の取り組みも後押しする。
また、同日採択されたコミュニケは、核物質と核関連施設の安全確保が、国家の基本的な責任であることを確認した。そのうえで、過激派組織「イスラム国」(IS)など国際テロ組織による核物質の入手を防ぐため「より多くの取り組みが必要」と指摘。「各国は核安全保障を永続的な優先課題とすることを誓う」と表明した。