テロ対策で情報共有を コミュニケ採択へ
【ワシントン会川晴之】ワシントンで3月31日夕(日本時間1日朝)に開幕した核安全保障サミットは1日夕、コミュニケを採択し閉幕する。「核なき世界」の実現を訴えたオバマ米大統領の提唱により2010年に始まったサミットが4回を重ねたことで、国ごとに理解にばらつきがあった核安全保障の重要性が共有され、核物質を使ったテロ防止策など、効果的かつ長期的な対策を促進する効果があったと高く評価する見通しだ。
また、プルトニウムなど核兵器製造に直結する核物質だけでなく、医療用の放射性物質などを使った「ダーティーボム(汚い爆弾)」によるテロの危険性が高まっていることを背景に、こうした物質が過激派組織「イスラム国」(IS)などの国際テロ組織の手に渡ることがないよう情報共有を図るなど取り組みを強化する必要性を強調する。
サミットは今回が最終回となる。このためコミュニケでは、国際原子力機関(IAEA)が核安全保障分野で主導的役割を果たすことを確認することになる。IAEAは今年12月にウィーンの本部で閣僚や専門家による会合を開くことを決めており、強化策の検討を続ける。国境をまたいだ国際犯罪を取り締まる国際刑事警察機構などの国際機関にも積極的な関与を求める方針だ。また、核物質管理の基準や法制度が国ごとに異なる現状を改善するため、五つの行動計画の策定にも合意する。