スピルバーグ、ゴダール、ヴェンダース、ジャームッシュ、そしてカウリスマキなど、世界中の監督たちに慕われたサミュエル・フラー。
「アクション映画」「犯罪映画」「戦争映画」「西部劇」といったジャンルのルールを踏襲しつつ、しかし「サミュエル・フラー」としか言い得ない確固たる独自のジャンルを、フラーは作り上げた。犯罪事件記者でもあった彼の経歴がそうさせたのか。ハリウッドの背景に広がる夢の王国=アメリカの、深い陰影からこぼれ出た物語がそこにある。
2015年9月のPFFの特集上映に続き、その際に上映できなかった3作品を中心にした連続上映を行います。日本初公開となる待望の『チャイナ・ゲイト』、正常と狂気の境界が融解する『ショック集団』、そしてフラー作品の中でも異色作の『裸のキッス』。どれもサミュエル・フラーの映画と言うしかない独自の風貌と、しかしあくまでもこれは絶対に映画であるこれこそが映画だと断言したくなる映画の強さを持った作品たち。誰もがどこかでこのような映画を作りたいと思っているにもかかわらず、フラーでしか実現できなかった正統的かつ歪んだ世界の姿に、わたしたちはここで直面することになる。目を大きく開いて、それを真正面から受け止めたい。(プレスリリースより)