「東京・春・音楽祭」をハイレゾ音質で生配信
インターネットイニシアティブ(IIJ)は、東京・上野で開催中の「東京・春・音楽祭2016」で3日と9日の2日間にわたり、コンサートの模様を高音質の「ハイレゾリューション」音源で生中継している。3日は「東京春祭マラソン・コンサート Variations(変奏)−変容する音楽」を、9日は「ベルリン・フィルのメンバーによる室内楽」の公演で、同社は「CDを超えるハイレゾ音質で、コンサートホールにいるような臨場感で音楽を楽しんでほしい」とアピールしている。
IIJは昨年4月の同音楽祭で初めてハイレゾ生中継の実証実験を行い、以後、ドイツのベルリンやポーランドのワルシャワ、オランダ・アムステルダムと日欧のコンサートホールからストリーミング中継してノウハウを積み重ねた。クラシック音楽の生中継は今回が5回目で、無料で聞くことができるが実験ではなく、「本サービスとの位置づけ」(同社)だ。
2本のマイクで臨場感
クラシック音楽のハイレゾ生中継で特に重要なのが、マイクの設置場所だ。これまでの実践で、コンサートホール上部につり下げた2本のマイクで収録すると、最上席で聞くような自然で臨場感あふれる音になることがわかっている。決して座ることができないそのマイクの設置場所を「PrimeSeat(プライムシート)」と呼んでおり、同社のハイレゾ配信サービスや専用ソフトの名前にもしている。IIJプロダクト本部シニアエンジニア、西尾文孝さんは「この場所で収録すると、空間の広がりや演奏家の息づかいなどホールの空気感も伝わり、臨場感あるハイレゾ音質の配信になる」と話している。
視聴には専用ソフト
ハイレゾ配信を聞くには、専用ソフト「PrimeSeat」(無料)をパソコン(PC)にインストールして再生する。DAC(ダック)と呼ばれるPC周辺機器を加えて再生すれば、さらに高音質で聞くことができる。
東京・春・音楽祭2016
「文化の森」の東京・上野の東京文化会館や東京国立博物館、東京都美術館などを会場に開かれている演奏会。オペラやオーケストラ、室内楽、ジャズなど幅広いジャンルで3月16日から4月17日まで1カ月間行われている。今年で12年目。無料のミニコンサート「桜の街の音楽会」などクラシック初心者が楽しめるイベントも。同実行委員会(委員長は鈴木幸一IIJ会長)主催。【小島昇】