信繁が愛する女性・梅を演じた黒木華さん。
役柄では「力持ち」なところがお気に入り!?
時代劇に出演するときは、いつも「どうしよう?」と悩んでいますが、梅役は楽しく演じることができました。これまでの時代劇出演は明治、大正、昭和あたりまでで、戦国時代は初めて。梅もそうですが、戦国の女性はたくましくて素晴らしいです。でも、今の女性もたくましいので、いつの時代も女性はすごいのだと思っています。梅は優しく、女性的。でも、お百姓として生きてきたので、力持ちでもあります。その差が人間らしくて、演じていてとても楽しかったです。
本音を言えば、歴史は苦手です。資料を読んでみましたが、似ている名前がいっぱい(笑)! 歴史の授業よりも『真田丸』の脚本は面白く、わかりやすくて助かりました。衣裳も、お百姓なので袖など気にしないで済むし、利便性に優れたものを着せていただいたので楽でした。シーン中で縄を編んだのは初めてです。少しだけ、難しかったかな……。
兄・堀田作兵衛役の藤本隆宏さんとは3度目の共演になります。連続テレビ小説『花子とアン』もご一緒でしたが、あまり一緒のシーンはなかったです。まっすぐな藤本さんには、いつも癒やされています。役柄もそうですが、普段からスポーツマン的な潔さのある“兄様”で、作兵衛さんそのものです。作兵衛さんと並んで、かわいらしい兄妹に見えてくれればうれしいです。
他人から言われたら嫌味に聞こえることでも、嫌味に聞こえないのが梅という役柄だと説明されていましたから、きりとの会話のやりとりは、梅が意地悪に見えないように気を配りました。最初、嫌味なく言えるかどうかと、とても不安でした。きりが信繁のことを好きなことを知っているだけに、梅の感情の出し方は、兼ね合いがとても難しかったです。でも梅は、ごく普通の女の子だろうと開き直った部分もあります。微妙な女心を含んではいますが、きりを演じる長澤まさみさんとは、現代風の掛け合いがギャップなくできたかなと思っています。
個人的に言えば、私は梅よりも、きりの方が好きです。きりは、素直でかわいいと思います。武士の娘として、さほど不自由のない場所で生きてきたのが、きり。けれども梅は親を亡くし、兄と共に生活していかなければならない身の上です。梅は友人として、きりのことが好きですが、根本的な考え方、思いのあり方が違っているのだろうと捉えています。梅は常に死と隣り合わせで、自分の力で生きていかなければならない立場の女性。そこがきりとの根本的な違いなんでしょうね。
他人から言われたら嫌味に聞こえることでも、嫌味に聞こえないのが梅という役柄だと説明されていましたから、きりとの会話のやりとりは、梅が意地悪に見えないように気を配りました。最初、嫌味なく言えるかどうかと、とても不安でした。きりが信繁のことを好きなことを知っているだけに、梅の感情の出し方は、兼ね合いがとても難しかったです。でも梅は、ごく普通の女の子だろうと開き直った部分もあります。微妙な女心を含んではいますが、きりを演じる長澤まさみさんとは、現代風の掛け合いがギャップなくできたかなと思っています。
信繁役の堺雅人さんは、物知りで優しくて、不思議な人です。「嫌い」や「面白い」など、感じたことを普通に言ってくださるので、「大人だな」と思います。
梅から見る信繁は、魅力的で優しい方。偉い人ですが、こちら側に降りて話をしてくれて、皆の幸せを考えてくれる人。愛しい人ですが、一方、若様としての距離も感じていると思います。
信繁ときり、信繁と梅という関係性も面白いです。信繁は、むしろ梅よりも、きりとの方が仲がいいと思います。距離感なく、臆さずに会話できる間柄です。でも梅も信繁のことを完全に上の人だと思っているわけではないから、話もできるわけですし……。持って生まれた距離の違い、女性として見てくれているかどうかの違いなのでしょうか。
姉の松様を失って安土から帰ってくる信繁を、梅が慰めるシーンでは、頼りにされて嬉しいのでしょうが、支えられる自分になりたいという気持ちも強い。ただそばにいるだけではなく、力になりたい。そう感じていたと思います。
梅が信繁の妻となって、正室のように婚礼を挙げてもらえてよかった。「婚礼衣裳を着ることができてよかったね、梅」という気持ちです。ドラマの中で、梅はそれが当然だとは決して思わないでしょう。暗殺だとかで、自分たちの祝言を利用された、とも考えたりしないと思います。常に兄が山に賊を退治しに行ったりと、毎日「もしかしたら死ぬかも」という思いを抱えて生きた時代ですから、「それが普通だったんだ」と改めて感じてしまいました。とにかく、私自身も楽しみにしていた花嫁姿の扮装ができてよかったです。