• BPnet
  • ビジネス
  • PC
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
「お金の知恵袋」

日銀は「通貨安競争」に負けたのか

著名マーケットウォッチャーが読む相場の行方

  • 豊島 逸夫

>>バックナンバー

2016年4月4日(月)

1/2ページ

印刷ページ

2016年は、日経平均株価がいきなり3000円以上も下落する波乱の幕開けとなった。今後の相場の展開を、日経電子版で人気コラムを連載する豊島逸夫氏が占う。

(記事の最後に1万円の商品券が10名様など計51名にプレゼントが当たるアンケートの案内があります)

 日本銀行による「マイナス金利導入」というサプライズがなければ、円高も1ドル=115円近傍で止まっていたと思う。なまじマイナス金利政策導入の発表直後に121円台まで値が飛んでしまったので、その反動で円高の勢いが激しくなってしまった。これが日銀の最大の誤算であったろう。

豊島 逸夫(としま・いつお)
豊島逸夫事務所代表。一橋大学経済学部卒。国内銀行、スイス銀行外国為替貴金属ディーラー、ワールド ゴールド カウンシル(金の国際機関)日本代表を経て現職。豊富な相場体験に基づき、金をはじめ世界経済を分かりやすく説く。著書に『豊島逸夫が語り尽くす 金 為替 世界経済』(日経BP社)など。ツイッター、ブログ、セミナーでの情報発信も旺盛で、ウイットに富んだ語り口に幅広いファンが集う(写真:水島伸敏=NY)

外れた「円安狙いの一手」

 もちろん、黒田総裁は口が裂けても「マイナス金利による円安期待」など語れるはずがない。しかし、優秀な日銀マンたちが巷間指摘されるマイナス金利政策の弊害を見抜けなかったはずもなく、結局は円安狙いの一手であったことは明らかだ。

 にもかかわらず、米国の景気後退懸念に由来するドル売りと「安全通貨」としての円買いの津波に、日銀の願いはあっけなく押し流された。

ヘッジファンドにやられた

 結果的に、日銀は「通貨安競争に負けた」というより「ヘッジファンドの円買い攻勢に屈した」とみるべきだろう。

 さすれば投機主導型の円高に持続性はない。1ドル=110円近傍の円高ターゲットを達成すれば、流れが変わる可能性が高い。

流れが変われば円安回帰

 なお、日本では、円が「安全通貨」といわれるが、ニューヨーク市場ではドルが「安全通貨」と語られる場合も多い。グローバルな視点では、円とドルが「安全通貨」の座を巡り拮抗しているのだ。

 ゆえに、一旦流れが変われば、「リスクオフのドル買い=円安」の展開も十分に考えられる。為替の世界は通貨価値の相対評価で動くのだ。

 さらに、ドル・円相場を中期的に見れば、やはり、日本は緩和、米国は引き締めという「金融政策の非対称性」によるドル買い・円売り圧力がジワリと効く。

 先述のごとく、ヘッジファンドのポジションも、一夜にして円買いから円売りにひっくり返る可能性を秘めている。〝ちゃぶ台返し〟は、彼らの得意技だ。

米国はドル安に心境複雑

 ただし、米連邦準備理事会(FRB)の思いは複雑だ。ドル高がもたらす低インフレリスクと、米国製品の国際競争力が弱体化することに懸念を表明していたので、時ならぬドル売り・円買いに一抹の安堵を覚えたかもしれない。

 とはいえ、ドル売りの背景には米国の景気後退懸念や外部環境の悪化がちらつくので、単に「円高歓迎」と喜べる心境ではない。


バックナンバー>>一覧

コメント

※記事への投票、並びにコメントの書き込みは、「ログイン」後にお願いいたします。

参考度
お薦め度
投票結果

コメントを書く

コメント[0件]

ビジネストレンド>>一覧はこちら

記事を探す

注目のビジネストレンド>>一覧はこちら

読みましたか~読者注目の記事