西村圭史、飯島健太
2016年4月3日23時15分
犯罪利用の疑いがあるとして、昨年1年間にネット銀行が凍結して失権手続きに入った口座は約1万件に上り、3年前の2・7倍に増えたことがわかった。口座を悪用される危険性を排除しようと、ネット銀行が独自に不審な取引を探す対策を進めていることが背景にある。一方、凍結の判断は各ネット銀行で異なり、犯罪とは無関係な口座まで凍結するケースも出ている。
金融機関は振り込め詐欺救済法などにより、犯罪利用の疑いがある口座を凍結できる。凍結口座を失権させる手続きで預金保険機構(東京)に報告された件数について、2012~15年分を朝日新聞が集計した。
全国の金融機関の合計は3万件強で、横ばいが続くなか、ネット銀行6行の合計は年々増加。15年は9528件で、12年の3459件の2・7倍に。メガバンク3行(みずほ、三菱東京UFJ、三井住友)の合計5152件、ゆうちょ銀行の4946件を上回った。
ネット銀行は郵送やネット上のみで口座を開設できる。手軽なだけに、犯罪対策にも力を入れる。警察や被害者から悪用口座の情報提供があったときには、すでに犯罪者が被害金を引き出していることが多い。悪用されるのを事前に食い止めようと、独自に出入金をチェックして不審な口座を凍結する「モニタリング」を進めてきた。
例えば、日本のネット銀行第1号であるジャパンネット銀行(東京)にはモニタリング専門部署がある。行員が不審な口座をチェックする部屋には各地の警察署から振り込め詐欺などの被害を防いだことへの感謝状が数十枚飾られている。
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朝日新聞社会部
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