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続・インターネットストラテジー(第8回)

【須藤憲司】選ばれるチームのつくり方

2016/4/3
大企業を辞め、スタートアップを起業するとはどういうことなのか。毎日、どんな難題に直面し、それをどう乗り越えていくのか。リクルートの最年少執行役員を経て、2013年に米国でKaizen Platformを創業した著者が、日々模索しながら考えた「インターネット企業を経営するためのストラテジー」をつづる。
1980年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、リクルートに入社、マーケティング部門などを経て、その後リクルートマーケティングパートナーズの執行役員として活躍。2013年にKaizen Platformを米国で創業。現在はサンフランシスコと東京の2拠点で事業を展開。ウェブサイトの改善を容易に行えるソフトウェアと、約2900人のウェブデザイン専門家(グロースハッカー)から改善案を集められるサービスで構成される「Kaizen Platform」を提供。大手企業170社、40カ国で3000のカスタマーが利用している

1980年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、リクルートに入社、マーケティング部門などを経て、その後リクルートマーケティングパートナーズの執行役員として活躍。2013年にKaizen Platformを米国で創業。現在はサンフランシスコと東京の2拠点で事業を展開。ウェブサイトの改善を容易に行えるソフトウェアと、約2900人のウェブデザイン専門家(グロースハッカー)から改善案を集められるサービスで構成される「Kaizen Platform」を提供。大手企業170社、40カ国で3000のカスタマーが利用している

会社や組織の器

前回前々回とプロダクトマネジメントとグロースハックという従来のマーケティングと言われる領域について書きましたが、たくさんのコメントいただきありがとうございます。

企業の中でお金を使うことをミッションにできる人は少ないし、稼ぐ部門からは攻撃されやすい。

八田さんのおっしゃる通り、いかにお金を賢く使うか。そのために攻撃されにくい保守的な使い方をしないこと、きれいに使っていくことの難しさはスタッフ部門にいた人なら共感できると思います。

社長のように仕事する意識はサラリーマンであっても必須で、仕事に深みも出る。

(1)一等地を確保・独占すること
 (2)成長への転換率を高めること
 (3)(1)と(2)を考えるための地図を描くこと

(3)の地図が差別化されていて、正確であればあるほど打ち出す場所である(1)の一等地をとらえた(2)転換率の高い戦略がうてる──。

この野村さんのコメントは、私のコンテンツを抽出し再編集していただいたような気がします。私自身も新しい発見をさせていただきました。

特に“仕事に深みも出る”というワードがとてもいいですよね。深みのある仕事、奥行きのある仕事をしていけるような発想や考え方を持ち、努力をしていきたいと改めて思いました。

毎回思うのですが、いつも読んでいただけて本当に感謝します。きちんとお伝えしようと思うと、ついつい長文になってしまうので、毎回読んでいただけるか、ドキドキしながら原稿をお届けしています。

第8回となる今回は、4月というタイミングにもちょうどいい、チームづくりをテーマに考えていきたいと思います。

「いかに素晴らしいチームをつくることができるか」について、皆さんも苦労された経験があると思います。モノづくりやグロースハックに限らず、事業のどんなシーンでもどんな部署においても、極めて重要で普遍的なテーマ。私も苦労に苦労を重ねてきました。

今回は採用やマネジメント、ブランディングなど会社や組織の器としての在り方について皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

1時間で学ぶ責任者がやること

今からちょうど5年前に、私は初めて事業部長に任用されました。

そのときにどうしたらいいかがさっぱりわからなかったので、かつての上司に相談に行ったことがあります。

「先輩、さっぱり何をしたらいいかわからないです。事業を経営するってどうしたらいいんですか」

「いやースドケン(*)! いいとこに来たな。俺が肝を教えてやるよー」(*ちなみに私は「スドケン」と呼ばれることが多いです)と言われて書かれたのが、この図でした。
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「一個一個説明していくぞ。まず実現したいビジョンあるよな? それを実現してくための事業計画がある。そんでだ、商品戦略と営業戦略がある。営業がないところだったら流通戦略と置き換えてもいい。いろいろ言われるけど、この2つだけしっかり考えておけばいい。で、それを実行してくために組織が必要なんだけど、これは採用・配置・代謝の3つがカギだ。で、最後にこういう四角には入らないんだけど、重要なのがこれら全部の隙間の空間を埋めるその組織が持つ文化とか風土だ。これは、すべてに影響する」

「わかりやすいですね」

「で、最初に着手すべきことは何か。大きく分けて2つだ。どうせ事業計画はあるだろうから、商品戦略と営業戦略を確認しろ。これがズレてると多分達成しない。そして同時に文化と風土は、おまえがつくれ。これも最初の着任直後じゃないといじることができない」

「なるほど」

「で、ある程度戦略はこれで良さそうだとなったら採用だ。どういうヤツが必要かのイメージは戦略が明確であればクリアだと思うから採用しろ。ほかの事業部から引っ張ってもいい」

「ふむふむ」

「で、配置だ。まあ、要はフォーメーションを決めて、そこに適材適所で人材を配置してく。これは結構柔軟にやらざるをえないと思う」

「ふむふむ」

「ここまでが、着任までに終わらせるべきことだ」

「!?」

「そうだよ。それでもあと12カ月しかないぞ。あっという間だぞ。忙しいだろ?」

「はあ」

「で、代謝なんだけど、これはあらかじめ考慮しておく必要がある。事業はフェーズが変わる。特に新規事業は、その成長フェーズに合わせて、どれだけいい採用していても組織に合わない人が出てくる。どれくらい人が入れ替わっていくかも考慮しておいたほうがいい」

「そうなんですね」

「そう。今めっちゃ活躍しているヤツが、ずっと活躍し続けるかはわからない。人も組織も変わり続けなければいけないから、自ずと新陳代謝が起こるし、あえて起こすように仕掛けるのも事業責任者だったらやらないといけない」

「なるほど」

「さらに言えば、おまえ自身もいつかその事業からいなくなる。だから次は誰に引き渡すか。どういう状況で引き渡すか。そのイメージを持たないとダメだ」

「ふむふむ」

「難しいことは、会社員だといつ引き渡すかは、おまえがコントロールできないってこと」

「確かに」

「スドケンのミッションの半分は、この後継者育成だよ」

「ほう」

「つまり、半分くらいで事業計画は達成できるようにしないといけない」

「マジっすか」

「マジだよ(笑)。で、ビジョンなんだけど、組織が小さい頃は確固たるものはいらないかもしれないけど、大きくなったら絶対に必要になる」

「何でですか」

「組織が大きくなると、おまえが直接話す人や時間が減っていく。ていうか、減らないとおかしい。そうすると、伝えたいことを伝えたり価値観を共有したりすることが難しくなる。そこでビジョンが重要になる」

「なるほど」

採用で70%が決まると思え

「質問してもいいですか」

「何だ?」

「これ人材育成とか入ってないんですけど、どう考えたらいいんですか」