大企業製造業の景気判断 2期ぶり悪化 日銀短観

大企業製造業の景気判断 2期ぶり悪化 日銀短観
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日銀が1日発表した短観=企業短期経済観測調査で、代表的な指標となっている大企業の製造業の景気判断は2期ぶりに悪化し、年明けから進んだ円高による収益悪化への懸念が企業の景気判断に悪影響を及ぼしたかたちです。
日銀の短観は、およそ1万1000の企業を対象に景気をどう見ているのかをおよそ3か月ごとに調査しているもので、今回の調査期間はことし2月下旬から31日まででした。
それによりますと、景気が「良い」と答えた企業の割合から、「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた値は、代表的な指標となっている大企業の製造業でプラス6ポイントとなり、前回12月の調査を6ポイント下回って2期ぶりに悪化しました。これは中国など新興国経済の減速に加え、年明けから円高が進んだことで、製造業の間で収益悪化への懸念が強まったためで業種別では「鉄鋼」や「電気機械」などの景気判断が悪化しています。
一方、大企業の非製造業は外国人旅行者の消費の勢いが弱まったことや、個人消費の低迷が影響したことから前回を3ポイント下回ってプラス22ポイントとなり、6期=1年半ぶりの悪化となりました。
業種別では「宿泊・飲食サービス」や「小売」などの景気判断が悪化しています。先行きについては大企業の製造業で3ポイント、大企業の非製造業で5ポイントそれぞれ悪化すると見込んでいます。
今回の短観は日銀がマイナス金利政策を導入してから初めての調査となりますが、金利全般が低下し、資金調達がしやすくなるなかでも円高などの影響で企業が景気の先行きに対して、慎重な見方を強めていることが明らかになりました。

中小メーカーは先行きに不安

日銀の短観では、中小企業の製造業の景気判断も悪化して、おととし9月の調査以来となるマイナスとなり、先行きにも不安感を強めています。

栃木県に主力工場がある、従業員210人の「ネジ」のメーカーでは、昨年度の売り上げが、前の年度よりおよそ1割減少しました。長年、さまざまな種類のネジを大手電機メーカーに納めてきましたが、納入先の業績が振るわず、パソコンや通信機器などに使われるネジの注文が減っていることが大きく影響しているといいます。
こうしたなか、新たな販路を開拓しようと、不良品のネジを自動的に素早く選別する機械を独自に開発し、販売を検討しています。しかし、足もとではネジの受注が落ち込むなかで、取引先からは最大で5%の値下げも求められ、売り上げ回復のきっかけをつかめないのが実情だといいます。
このネジメーカー「富士セイラ」の高須俊行社長は「取引先の大手電機メーカーに先行きを聞いても明るい話は入ってこない。さらに電機業界では事業の再編などに伴って、今後、事業そのものがなくなるおそれも感じている。取引先の大企業の商品が売れないかぎり見通しは悪く不安だ」と話していました。