ホンハイ シャープの買収正式決定

ホンハイ シャープの買収正式決定
k10010462021_201603301804_201603301805.mp4
経営不振に陥っている大手電機メーカー、シャープと台湾の大手電子機器メーカー、ホンハイ精密工業は30日、それぞれ取締役会を開き、ホンハイによるシャープの買収を決めたと発表しました。これによって日本の大手電機メーカーが初めて海外メーカーの傘下に入ることが正式に決まりました。
主力の液晶事業の低迷で経営不振に陥っているシャープは、先月25日の取締役会で台湾のホンハイ精密工業による買収の提案を受け入れることを決めました。しかし、その直前にシャープが3000億円に上る財務上の潜在的なリスクについての資料をホンハイ側に示したため、ホンハイが内容を精査する必要があるとして最終的な契約を見合わせていました。
さらに、シャープはことし3月期のグループ全体の決算で、液晶事業の不振や太陽電池の価格下落などにより、本業のもうけを示す営業損益が100億円の黒字の予想から1700億円の赤字に転落する見通しとなりました。
こうした経営状況を踏まえて両社が交渉を続けた結果、ホンハイは予定どおりシャープの増資を引き受けて株式の66%を取得して買収するものの、1株当たりの取得額を引き下げることで、出資額は当初の予定からおよそ1000億円減らして3888億円とすることなどで合意しました。
これを受けて両社は30日、それぞれ取締役会を開いてホンハイによるシャープの買収を正式に決め、先月中の合意を目指していた買収交渉は、およそ1か月遅れて決着しました。
シャープとホンハイは来月2日に最終的な契約を結ぶことにしており、日本の大手電機メーカーが初めて海外メーカーの傘下に入ることになりました。

有機ELディスプレーに2000億円投入

シャープは資金の使いみちについて、スマートフォンなどの次世代のディスプレーとして期待される有機ELディスプレーを再来年から量産するための設備投資に2000億円、パソコンやタブレット向けの液晶ディスプレーの生産能力の増強などに600億円、それに家電や人型ロボットの研究開発に400億円を投じるなどとしています。また、今回の買収にあたってシャープ側が求めていた、シャープのブランドを継続的に使うこと、経営の独立性や従業員の雇用が維持されること、それに技術流出を防ぐため協力していくことなどについても合意しました。

ホンハイ「栄光の歴史取り戻す」

ホンハイ精密工業は30日、取締役会を開いてシャープの買収を決めたあと台北で記者会見しました。この中でホンハイの担当者は、「共同でシャープの潜在能力を引き出し、課題と向きあって突破できると深く信じている」というホンハイの郭台銘会長のコメントを発表しました。そのうえで「2社は、歴史的な意義のある戦略的な連盟を展開する。まずは、再び黒字経営に向けて運営を強化し、シャープを再び世界の電子産業のリーダーにして、世界レベルの企業の栄光を取り戻す」と述べました。