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この2月から3月にかけ、宝塚大劇場は話題作「るろうに剣心」の上演で、寒さも忘れる盛り上がりぶりだった。「るろ剣」が日本物なのか?と問われると迷うが、登場人物の多くが着物姿であり、日本物の所作が求められ、おまけに殺陣シーンも満載となると、やはり日本物の一端に加えるべきではないかと思う。
加えて今年は、6月に月組で「NOBUNAGA<信長> ―下天の夢―」、8月末からは星組で「桜華に舞え」と、日本物の上演が続く。日本物好きとしてはうれしい一年だ。だが、日本物のショーはない。日本物好きなファンでも「ショーは退屈」というイメージを持っている人は多いかもしれない。
果たして、本当に日本物のショーは退屈で今の時代に合わないのだろうか? そう考えたとき思い出したのが、1960~70年代、タカラヅカの演出・振付家の渡辺武雄らによる「郷土芸能研究会」によって生み出され、日本の民俗芸能を素材として舞台化された作品の数々だ。これらの作品には「民俗舞踊シリーズ」14編と「物語り風土記シリーズ」8編がある。中でも「民俗舞踊シリーズ」第4集「火の島(ひのしま)」は、芸術祭賞も受賞して注目を集めた作品だった。
今となっては、オールドファンを自任する人でもこうした活動や作品を知る人は少なくなってしまった。だが、「郷土芸能研究会」の丹念な取材記録は学術的にも高く評価されており、そこから生み出された作品群も斬新なものだ。かつてタカラヅカがこのような価値ある活動をしていたということは、ファンとしてぜひ知っておきたいことだと私は思う。
現在、「郷土芸能研究会」の膨大な取材記録は池田文庫に整理・保管されており、申請すれば誰でも閲覧することができるという。「百聞は一見にしかず」ということで、一度見に行ってみることにした。
※会員ページでは、さらにくわしくお伝えしています。ぜひご覧ください。
《筆者プロフィール》中本千晶 フリージャーナリスト。宝塚歌劇に深い関心を寄せ、独自の視点で鋭く分析し続けている。主な著作に『宝塚読本』(文春文庫)、『なぜ宝塚歌劇に客は押し寄せるのか』(小学館新書)、『タカラヅカ流世界史』『タカラヅカ流日本史』(東京堂出版)など。2015年10月に『宝塚歌劇は「愛」をどう描いてきたか』(東京堂出版)を出版。NHK文化センター講師、早稲田大学非常勤講師。
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