江戸時代後期、松平定信が行った寛政の改革は、風紀の取り締まりを厳しく行い、出版や学問についてまで統制して幕府のコントロール下に置こうとする政策をとった結果、民衆の評判はすこぶる悪く、「白河の清きに魚も住みかねて 元の濁りの田沼恋しき」などと狂歌で皮肉られました。
その結果、最終的には印旛沼の干拓という公共事業の失敗をきっかけにして、老中の職を追われ、改革は失敗に終わります。
ちょうどその頃の出版統制の状況を書いた時代小説が面白かったので紹介を。
谷津矢車 学研マーケティング 2014-03-25 売り上げランキング : 205987
|
この本を読んでいると、特に寛政の改革が失敗に終わることを知っている人間としては、行き詰った政権が批判を避けようとして出版を統制しようとするところ、そしてそれによって被害を被るのはただ面白いことだけを追求していた主人公である蔦屋重三郎をはじめとした一般庶民であることがよくわかります。
ところで最近は、匿名ブログのことを「落書き」などといって無視しようとしていた政治家の方がいらっしゃったようですが、その方はこういった日本の歴史をご存知なのでしょうか。