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フクシマ、生かされぬ大惨事の教訓

2016/4/1 17:25
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 3月11日、日本は3つの惨事が起きてから5年目を迎えた。東北地方に大損害を与え、約1万6千人の死者と2500人の行方不明者を出した地震と津波、そして福島の原子力発電所の事故。同事故は16万人に移住を強い、福島県の公式統計によると、間接的に2千人の死者を出した。放射性物質は原発周囲250キロメートルの土地まで汚染した。

 5年がたったが、まるで何も起きなかったかのように、日本は再び原発を推進している。再稼働したばかりの高浜原発の原子炉を止めるため、日本の司法は9日、介入する必要があった。裁判所は「福島の事故に照らし合わせ、津波や避難計画についての対策に疑問が残る」と判断した。

 保守派の安倍晋三首相が率いる政府の無分別は「フクシマ」のページを早くめくりたい日本の産業界の要求によるものだ。そう考えるのはたやすい。経済的な現実主義と事故を忘れたいという意志があるからだ。

 だが現実は別のところにある。フランスなどほかの多くの国では、大惨事の教訓を得ているとは言えない。確かにドイツとスイスは原子力を放棄した。しかし世界では中国やロシア、インドやアラブ首長国連邦(UAE)などで65あまりの原発が建設されている。それらは福島の原発よりも安全なのだろうか。

 「どんなに注意を払っても、原子力の事故は排除されない」。2012年1月、当時の原子力安全庁(ASN)のラコスト長官は言った。放射線防護原子力安全研究所のルピュサール所長は「考えられないようなことを想像する必要がある」と語った。福島の事故後、欧州は非常に慎重な戦略を採択し、原子炉の安全基準を強化した。仏原発は、事故時でも電力や水を供給し続ける機能の維持に向け、整備を進めているところだ。ASNのシュヴェ現長官は「福島のような事故は欧州で起きうる」と警告する。

 原発の特異性は、たとえ大災害のリスクが低くても、一度起きてしまえばその結果は計り知れないということだ。この単純な事実は、政府がエネルギーのバランスを決める上で、ほかの何事よりも重く考えるべきだ。特に原発に依存するフランスは他の国々と同様、脅威にさらされている。

(3月12日付)

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