記事詳細
韓国人学校への都有地貸与「ソウル市への恩返し」 批判の声も…「政策判断は私の判断だ」
舛添知事定例会見録更新《3月18日午後2時から都庁会見室で》
【冒頭発言】
「障害者スポーツの関連で、プロモーション映像を作りました。『Be The HERO』。東京生まれのヒーローになろうという意味なのですが、これが映像のコンセプトです」
「顔なじみのアスリートの皆さん方に出ていただいていますが、この映像は、トップアスリートの躍動する姿と、日本が世界に誇る文化でありますマンガを融合させて、これまでの障害者スポーツのイメージを革新させようとするものです。先ほど申し上げました『Be The HERO』というのは、アスリートだけでなく、応援する方なども、障害者スポーツを支える、一人一人がヒーローだと、そういうメッセージを込めています。この映像を使いまして、障害者スポーツの新たなイメージを浸透させていきたいと思っています」
「次の話題ですが、海外出張の件です。4月12日から18日まで、ニューヨークとワシントンに出張しますので、お知らせします。ニューヨーク市は、1960年に東京都が最初に姉妹友好都市提携を締結した都市です。今回の訪問により、両都市の関係をより一層強化したいと思っています。また、平成25年に東京都がニューヨーク市に対して、東日本大震災からの復興を象徴する、福島県の三春滝桜の種を寄贈しまして、その種がすくすくと育って、植樹できる大きさになりましたので、この植樹式をニューヨークの方々と一緒にやりたいと思っています」
「さらにニューヨークでは、日米両国の相互理解を深めるために活動している非営利団体のジャパン・ソサエティー、それからジェトロ・ニューヨーク事務所から招待を受けて講演を行って、アメリカの企業やアメリカ国民、メディアに対して東京の魅力をPRしてまいりたいと思っています」
「ワシントンの方は、ワシントンの市長さんと、全米桜祭り協会から招待を受けたものでして、桜祭りの各種関連行事に参加します。皆さんご承知のように、全米桜祭りは、1912年に、当時の尾崎行雄東京市長が桜を寄贈したことを記念して行われるイベントで、すばらしい桜のお祭りで、世界中に知られています」
「それから、戦略国際問題研究所におきまして講演を行う予定で、東京はワシントンDCとは姉妹友好都市ではなくて、姉妹友好都市はニューヨークなのですが、お互い首都ですから、日本の首都である東京、アメリカの首都であるワシントン、そういう意味でワシントンの地から、この2020年を迎える東京のプレゼンス(存在感)を高めたいと思っています」
「それから、海外出張の経費についてですが、より効率的な体制を敷き、できるだけの経費の節減に努めていきたいと思っています。これまで、総経費はホームページで公表しておりましたが、透明性向上という観点から、さらに突っ込んだ詳細な情報についても公表するように事務方に指示を行っていて、都民への説明責任はしっかりと果たしていきたいと思っています」
「(海外出張に)同行した記者の方は良く分かっていると思いますが、物見遊山をやったりしているわけではなくて、朝から晩まで一生懸命仕事しているというのは、皆さん方が一番良く知っていると思います。ただ、やはりここは見直した方がいいなと、これまでの人数は要らないのではないかな、ということもあると思いますので、しっかりとそういう見直しも行っていきたいと思っています」
【質疑応答】
--アメリカ出張の意義は。
「これはもう、五輪開催都市としては、世界中のご支援をいただかないと成功に導けないと。万が一にもどこかの国がボイコットするなどということは絶対に避けないといけないと」
「そういう中で、姉妹友好都市というのは、われわれの仲間ですから、努めてそういう都市との友好関係を築くということは、五輪のためだけではありません。いろいろな意味で良い関係を築くことができることは東京のみならず、日本国にとっても非常に良いことだと思って、精力的に行っています。ニューヨークは最初に姉妹都市を結んだ都市ですので、ぜひ、アメリカとも、そういう友好な関係、そして、日米関係、東京・ニューヨークの関係を強固にしたいと思っています」
「ワシントンについて言うと、これは先般、東京都の園芸高校に参ったときにも、そこにケネディ大使も来られたように、われわれはハナミズキをいただいている。ですから、アメリカのハナミズキ、日本の桜、こういう花が取り持つ縁というのは、非常にすばらしいものがあって、そういうことで、お互いの2つの首都の間の、ワシントンの市民、東京の都民、こういう関係をしっかりやっていくということは、非常に意義があるということで、今度参りたいと思っています」
--都議会の常任委員会で、海外出張費の内訳などを求めた議員に対して、情報公開請求手続きをとってくれという趣旨の(都幹部の)答弁があった。どの点まで開示していくべきだと考えているか。
「私が今までやってきたのは、条例で決めた海外出張について、こういうかくかくしかじかのルールでやりなさいということで、あまりそういう細かい点は…、むしろパリの市長さんと会う、ロンドンの市長に会う、それから北京の市長に会って、どういう話をするのだ、どういう協力関係を結ぶのだというようなことを一生懸命やってきました」
「今まで踏襲してきましたが、こういう機会ですから、少し見直して、例えば全体的な経費だけではなくて、これは開示請求をすれば全部出てくるわけですが、旅費がいくらかかったか、滞在費がいくらかかったかというようなことをできるだけ詳細に出せるものは出したいと思っております」
「議会のあり方うんぬんは私の方でコメントをすることではありませんが、そういう観点からできるだけ情報公開をやりたいという方向です。詳細は、条例との絡みも含めて、今から詰めていきたいと思っています」
--韓国に、旧都立市ヶ谷商業高校の跡地を貸すということで協議を進めるという発表があった。意義は。
「(東京とソウルは)姉妹都市であるので、お互いに協力する、この前もソウルの道路の陥没でぱかっと穴が開いたのを、われわれの建設局のチームが助けに行くと、そういうことをやって、お互いに協力し合うというのは非常に良いことです」
「ソウルで日本人学校を開くときに、場所をどうするか、いろいろな建設資金のやりくりなどで困ったときに、ソウル市が全面的に協力をしてくださって、それで、日本人の子供たちにソウルでしっかりと教育できています。同じことなので、韓国の人たちは、やはり手狭になったので、何とか協力できないかということですから、お互い恩返しでやっていくと」
「日本と韓国の将来に向かっての友好関係を一番担保できる人たちは、これからの世代の人たちです。日本にいる韓国の子供たちは将来、2つの国の関係が悪くなったときにしっかりと友好関係に努力してくれる。逆に、韓国にいる日本の子供たちが同じような方向で日韓協力できる。そういうことは非常に良いことだろうと思っています」
「これは韓国だけではなくて、北区にはフランスの学校があります。先般、どなたかが記事に書いていたと思われますが、あそこにフランスコミュニティーのようなものができて、非常に地元と和やかになっている」
「それから、確か江東区だったと思いますが、インド人学校ができました。最初は反対も多かったのですが、今は、日本人の子供もそこに入りたいというぐらいで、非常にすばらしいコミュニティーが形成されている。日本の子供たちの国際化、五輪・パラリンピック教育とかを一生懸命やっているときに、目の前にそういうコミュニティーがあって、じかに触れることができるというのは、東京のグローバル拠点として、その街を活力のある街にするために非常に良いと思いますので、国と国の関係でいろいろ難しい問題もありますが、お互い市民、都民の間でこういう協力をやっていくということは、私は良いことだと思っています」
--「保育園落ちた日本死ね」というブログが、あちこちで取り上げられて、国会でも議論になっている。どう受けとめているか。
「待機児童問題というのは、一生懸命やっておりますし、汐入公園などでも公園の規制緩和で、公園の中に保育園を作るというようなことをやり始めています。それから、何と言っても土地の値段が高いので、東京は非常に難しいのですが、国有地、民有地、都有地、それから区有地、そういうところを含めて、借地料の補助なども行っていますし、それから保育士のキャリアアップとの絡みで、例えば空き家を借り上げて、職員の住宅にして、その分の実質的な家賃補助を行うことができるという、さまざまなことを国と一生懸命連携しながらやっているところです」
「私の公約は、自分の任期4年間の間に待機児童問題を取り組むということで今、一生懸命やっています。減ったなと思ったら、またどんどん入ってきているということですが、それでも努力をするしかないなと思っております」
「ブログについては、そういう問題提起は結構だと思うのですが、産経新聞に曽野綾子さんが書かれていたと思いますが、日本語が少し下品過ぎるなと。私もブログやツイッターを書きますが、やはりきちんと正しいというか、あまり下品ではない日本語で書くように努めていますから、曽野綾子さんがそういう記事を書かれていて、『ああ、そうだな』という感想はありました。待機児童問題というのは非常に大きいので、これは総力を挙げて今後ともやっていきたいと思っています」
--韓国人学校へ都有地貸与の件について、この周辺というのは、かなり保育のニーズが高く、新しいマンションも多い。保育施設を作ったり、ほかの福祉施設に充てるという手もあるが、なぜ韓国人学校の方を優先することになったのか。狙いと経緯は。
「東京都が行政として解決しないといけない問題はたくさんあります。今日は保育所の話が出ましたが、では、老人保健施設(老健)、特別養護老人ホーム(特養)はどうするのですかと。私も母親の介護をしましたが、もう本当に介護で大変だった。『なぜ老健、特養にしないのですか、保育所ではなくて』と、こういう声も出てくる」
「けれども、それはいろいろな要求を入れながら、そしてその場所に適したものを上手に使うということで、全く保育所について何もやっていないというなら別ですが、先ほど言った公園の開放ということもやっているわけです。今候補に上がっている都立高校の跡地というのは基本的に学校であって、校舎とか体育館もあって、学校用地として適切です。先ほど申し上げましたように、われわれも大変お世話になっているのですから、そういうことに使うというのは決して悪くないと思っています。全ての都有地をどういう形で使うかというのは、さまざまな用途に使うという、そういう方針で決定していきたいと思っています」
--新宿区から「保育所に使いたい」などの要請はなかったのか。
「新宿区からそういう話は聞いていません」
--この話が出てきた経緯として、知事が平成26年に訪韓した際に、朴槿恵大統領から直接要望を受け、トップダウンのような形で話が進んでいったということで間違いないか。
「はい、それは間違いありません」
--「韓国だけに便宜を図るのは難しい」という都職員の声もある。ほかの都市から同様の要望があったときは、どう対応するのか。
「先ほど、北区のフランスの学校の例、江東区のインドの学校の例を申し上げました。そういうことです。それぞれの要望があれば、それぞれに対応するということです。ソウルと東京は姉妹都市であって、こちらもお世話になっているわけで、差をつけるとかではなくて、それぞれ要望があれば、そのときに対応をするということです」
--都には都民の方から、「保育所を整備したらいいのではないか」「なぜ韓国なのか」という要望、意見が300件近く寄せられている。かなり批判的な意見が多いようだが、どう受け止めているか。
「それはいろいろな声があります。先ほど言ったように、いろいろな声があるのは当たり前なので、政策の判断ですから、私の判断でやって、これから細かく詰めようということです。なぜ韓国ということだけにそんなにこだわられるのかということが、私はまだ分からないです。インドでも、フランスでも、どこでもそういう要望があったら、世界に開かれた街としてできるだけのことは、特に子供の教育の話ですから、努力をしたいと思っています」