ふと気が付くと草原に立っていた。
天候は晴れ。
風が涼しげにざわざわと吹いている。

「ここはどこだ……？」

　辺りの様子を探る。
視界の隅に何かを発見した。
ゲームのアイコンのようなものだ。

　ステータスとミッションという項目があった
先にミッションを確認しよう。
頭の中で念じてみると、画面が切り替わった。


ミッション
３０年後の世界滅亡を回避しよう。
報酬：元の世界に帰還（任意）

ミッション
ステータスを確認しよう。
報酬：初心者用の装備等一式、スキルポイント１０

ミッション
魔物を１匹討伐しよう。
報酬：スキルポイント１０

ミッション
街へ行こう。
報酬：スキルポイント１０


「ふむ、夢か？」

　俺は思わずそうつぶやいた。
しかし夢にしてはリアリティがある。
これが話に聞く異世界転移というものか？

　ミッションに目を通す。
世界滅亡？
スキルポイント？
いろいろと気になる点が多い。

　次にステータスを見てみる。


レベル１、たかし
種族：ヒューマン
ＨＰ：２１
ＭＰ：１３
腕力：６
脚力：８
体力：１２
器用：１０
魔力：１４

残りスキルポイント０
スキル：
ステータス操作
スキルリセット
加護付与
異世界言語


　ステータス操作では、新しいスキルを取得できるようだ。
ただし、そのためにはスキルポイントを消費する必要がある。
試しに剣術を選択してみる。
すると「取得に必要なポイントが１０不足しています」と表示された。

　スキルリセットは、ポイントで取得したスキルをリセットし、ポイントに戻すことができるようだ。
とりあえず使ってみる。
一瞬視界が点滅し、「再使用可能まで３０日」と表示された。
使い放題ではないのか。
ちょっと浅はかだったな。
まあ過ぎたことは仕方がない。

　続いて加護付与のスキルを試そうとした。
しかし、「近くに対象者が存在しません」とエラーメッセージが出てしまった。
距離の問題かな？
人を見つけたら改めて試そう。

　異世界言語のスキルは何だろう。
普通に考えて、読む・書く・話す・聞くといった能力かね。
これも人に会わないと試せない。


　ステータスについても一通り確認した。
ミッション画面に戻り、達成済となっているミッション報酬を受け取る。
初心者用装備一式とスキルポイント１０だ。

　初心者用の装備等一式は、目の前にドサッと積まれた。
初心者用だからか特に凄そうなものはない。
パッと見た感じ、服・剣・鎧・貨幣・カバンがあるようだ。

　服は異世界風のものだ。
ありがたい。
これで悪目立ちはしないだろう。

　剣は短め、鎧は革製のものだ。
ショートソードとレザーアーマーと名付けよう。
魔物が出てきても抵抗するぐらいはできそうだ。

　貨幣は３種類。
金貨１０枚、銀貨１０枚、銅貨３０枚だ。

　カバンは少し大きめだがごく普通のものだ。
残念ながら特殊な効能はない。
「見た目以上の収容量がある」とか期待したんだが。
それまで着ていた服や靴、今出てきた貨幣などをそれに入れた。
地味に重い。

　次にスキルポイント１０だ。
ステータス画面を確認すると、確かに１０ポイント増えていた。

　さて、どうするか……。
じっくり考えてみる。
これがゲームであれば、一時中断して攻略サイトを見るか、しばらくこのまま進めて様子を見る。

　しかし、これはおそらくゲームではない。
ましてや夢でもない。
死んだら死ぬ。

　思い切って何らかのスキルを取得しておいた方が良いだろう。
ミッションに魔物討伐がある。
戦闘系のスキルが欲しい。

　ざっと目を通してみる。
どうやら取得には１０ポイント消費するようだ。

　剣術、槍術、斧術、棒術、弓術、格闘術……。
この辺は使い易そうだな。
俺は剣を持っている。
この中から取るとすれば剣術以外に選択肢はない。

　盾術、回避術、気配察知、気配隠匿、魔力感知、詠唱時間短縮……。
この辺はサポート系だろう。
今はまだいい。

　火魔法、水魔法、土魔法、治療魔法、重力魔法、空間魔法、闇魔法……。
魔法も後回しだ。
詠唱時間も消費ＭＰも威力も不明瞭だからな。
最初に選ぶにはリスクが高い。

　ＨＰ強化、ＭＰ強化、腕力強化、脚力強化、体力強化、肉体強化……。
基礎ステータスを上昇させるスキルか。
できれば優先的に取っていきたい。
やはり最後に頼りになるのは基礎ステータスだからな。
肉体強化は何だろう？
腕力や脚力を全般的に強化するスキルだろうか。
肉体の強度を上げて防御力を増すスキルの可能性もある。

　役立ちそうなスキルには一通り目を通した。
今取れるのは１つだけだ。
その上で、どれを取るべきか考える。

　候補は「剣術」「腕力強化」「肉体強化」あたりだろう。
数分ほど考えて、剣術を取得することにした。

　剣術の項目を選択し実行する。
視界が一瞬点滅する。
特に体に変化は見られない。

　ステータス管理画面を見ると、「剣術をスキルレベル１から２にするには５ポイント必要です」と表示されている。
注目すべき点は２点だ。
スキルにレベルがある点。
取得よりもスキルレベルを上げる方がポイントの消費が少ない点。
今後スキルポイントが入ったら、まずは特定のスキルを集中的に上げるのも良さそうだ。

　剣術スキルの検証をする。
ショートソードを手に持ち適当に振ってみる。
なるほど、確かにスキルの恩恵を感じられる。
なんとなくだが、どう振ればよいのか分かる感じだ。
これならば、ちょっとした魔物ならいけるかもしれない。
ただし、基礎ステータスは変わっていないので、剣速は遅いし無理をしたら疲れそうだ。

　さて、そろそろ街へ向かうとしよう。
念のためにスキルを取得したとはいえ、魔物狩りはリスクが高い。
拠点となる街を見つけるのが先だ。










レベル１、たかし
種族：ヒューマン
ＨＰ：２１
ＭＰ：１３
腕力：６
脚力：８
体力：１２
器用：１０
魔力：１４

武器：ショートソード
防具：レザーアーマー

残りスキルポイント０
スキル：
ステータス操作
スキルリセット
加護付与
異世界言語
剣術レベル１