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待ちに待った全線復旧 名松線を守る会

手製の旗で名松線全線復旧を祝う準備をする「名松線を守る会」の赤堀会長(左)ら=津市美杉町八知の伊勢八知駅で

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 二〇〇九年秋の台風で被災し、津市内の一部区間で不通となっていた名松線が二十六日、六年半ぶりに全線復旧する。地元に欠かせない足として、また地域振興に必要な観光資源として、復旧を待ち続けた「名松線を守る会」にとって喜びはひとしおだ。

 松阪市と津市の山間部を結ぶ四三・五キロのうち、不通区間は家城駅(白山町)−伊勢奥津駅(美杉町奥津)の一七・七キロ。その区間の主な利用者は美杉町民で、守る会には町内から町人口の七割以上に当たる約三千四百人が入会する。

 前身の「名松線の全線復旧を求める会」は、JR東海が家城−伊勢奥津間の廃線を提示した直後の〇九年十二月に発足。津市自治会連合会が市民十一万六千人余りの署名を集めた活動にも大きく関わった。

 JR側が運行再開の方針を示した後の一一年三月、守る会に改称。美杉町内のまつりへ名松線の代行バスで来場した客に鍋料理を振る舞うなど、機会があるごとに町内外に名松線の存在をアピールしてきた。これまで二回ほど沿線の雑草を除去し、町内に五つある駅の周辺清掃もした。

 二十六日は、伊勢奥津駅や伊勢八知駅(美杉町八知)である全線復旧の記念事業にも携わる。会員が手製の小旗や横断幕で一番列車を出迎える。

 赤堀嘉夫会長(71)=美杉町川上=は「復旧で終わりではなく、ここからが正念場。鉄道よりもバス路線充実を望む人たちの意見も取り入れつつ、どんな活動をするかが大事になる」と話す。

 JR東海によると、不通になる以前の家城−伊勢奥津間の利用者数は一日八往復でわずか九十人。「名松線存続をかけて、会員に利用を訴える。同時に、徒歩で駅まで通えない高齢者のために、市のコミュニティバスと名松線の連携を働きかけたい」と赤堀会長。

 雲出川の渓谷に沿って走る名松線の景観の美しさや森林浴を満喫できるハイキングコース。国史跡や名勝を有する北畠神社…。町の観光スポットと結びつけてアピールし「町外からの利用客増加にも一役買わなければならない」と力を込める。

 (堀内敦子)

 

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