ローカル線6年半ぶり運行再開 しかしまだ喜べぬ現実 JR東海・名松線

JR東海が示したある方針と東日本大震災

 JR東海は2009年10月29日、被災した名松線について松阪~家城間は引き続き鉄道で運行するものの、家城~伊勢奥津間はバス輸送に変更する方針を示します。地形が急峻で自然災害を受けやすい区間であること、仮に復旧しても再び被災し、列車運行に大きな影響が出る可能性がその理由です。また運賃などについては、鉄道とバスで分けず通算するなど、従来の考え方を維持していくとしました。

名松線全線の運行再開にあたり、柘植JR東海社長や鈴木三重県知事、前葉津市長らが臨席し、伊勢奥津で出発式が行われた(2016年3月26日、恵 知仁撮影)。

 名松線の一部廃止が具体化するなか、沿線住民と自治体は、「鉄道」は生活に欠かせない交通機関であり、また観光などによって地域を活性化させる重要な基盤であるとして、復旧・存続を求める運動を展開。そして2011年5月、三重県と津市が治山工事と水路の整備、その維持管理を行い、JR東海が鉄道施設を復旧するという協定が結ばれ、このたびの運行再開にいたっています。

 協定が結ばれたのは、東日本大震災の2ヶ月後です。鈴木英敬三重県知事は、震災による閉塞感が日本全体に漂っていたなか、ひとつの希望としてその三者協定を結んだと話します。

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