livetune+結成・kz「楽しいライブを作りたい」〜活動の構想と、ボーカルの"声"の輝かせ方

2016.04.02 17:15

音楽プロデューサー・kzさんと、ボーカル・やのあんなさんによる新生ユニット「livetune+」。 記事:kzとやのあんなによる新生ユニット 「livetune+」1st E.P.「Sweet Clapper」を発表!結成&制作秘話を語るでは、やのさんに結成時のエピソードなどを伺った。

今回の記事では、楽曲を手がけるkzさんにフォーカス。kzさんは2007年からニコニコ動画上でボーカロイドを活用した音源をアップし注目を集め、2011年にGoogle Chrome CM・初音ミク編に起用された楽曲「Tell Your World」も話題となった。

いわば「テクノロジーの活用」で注目を集めるようになったkzさん。その後ソロプロジェクトlivetuneでも「livetune adding XX(アーティスト名)」としての楽曲を発表したり、様々なアーティストへの楽曲提供を行い、そしてlivetune+としてボーカルを迎え自らのユニットを結成。より「ライブ」にアプローチを強めるkzさんが今何を考えているか興味が沸き、「ライブ」「人」という切り口でお話を伺うことにした。

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イベント「SENSORS IGNITION」での「livetune+」パフォーマンス

■ボーカルにやのあんなさんを選んだ理由と、ライブを意識した楽曲

--前回の記事ではやのさんにlivetune+結成の経緯を伺ったのですが、kzさんから見た、やのさんと一緒にユニットを組みたいと思った理由を教えて頂けますか?

kz:
音楽的な部分ももちろんですが、人間的な部分が大きいです。歌が上手い人、技術的に優れている人は沢山いると思うんですが、"楽しい人"はあまりいないなと。音楽はもちろんシリアスなことを届けることも必要ですが、根幹としてはエンターテインメント。ここ数年、いろんな方々のライブを見ていてやはり皆さん「現場を楽しくする」工夫をしているんです。僕も音楽を通して楽しさの部分を届けていきたいなと思った点が一つです。
また、僕はボーカロイドを使って、ネットから出てきたからこそ、これまで現場(ライブ)があまりなかったんですよね。その場その場しかないものをつくっていきたいと考えていて、ボーカリストとして一緒にやっていく人がいないかな?と3〜4年くらいずっと探していました。するとよく考えると「あ、近くにいい友人がいた!」という(笑)。
やのはここ数年友達付き合いをしている中でやっぱり話していて楽しい、そういった楽しさをシンプルに表現してくれる人間だと思いました。"人を楽しくさせるヤツ"というのはなかなか才能だと思うので。

--livetune+としての楽曲制作ではどういった点を意識されましたか?

kz:
やののキャラクターはもちろん、楽しい現場・ライブを作ることに主眼を置いています。ここでクラップしたら楽しいだろうなと考えたりとか、BメロによくあるPPPHを入れたりとか、ただ聴いてもらうだけではなくわかりやすくお客さんも参加出来る流れを描いたり余白を作りながら曲を作る、という点を今回意識しました。
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--ライブ映えしそうな楽曲群ですよね。

kz:
曲のBPMもあからさまに早くしています。例えばエレクトロハウスならBPM128、130くらいが多かったのですが、今回は160だったり、170近くだったり。
出演したROCK IN JAPAN FES.やCOUNTDOWN JAPANはもちろん、友達のライブに行った時にも、お客さんがどういうところで楽しくしているのかをずっと見ていました。すると、お客さんが盛り上がるBPMがちょうどそれ位なんです。クラブだとまた異なりますが、ここ数年見てきたライブの「美味しい所ってなんだろうな、それを詰め込んだ曲にしたいな」と考えながら作っていましたね。

--ライブでどんなお客さんに盛り上がってもらうイメージで、曲を書かれたのでしょうか?

kz:
僕の中ではROCK IN JAPAN FES.の空気感がすごく大きな部分です。ROCK IN JAPAN FES.のお客さんは音楽をそこまでコアに聴くわけではなくて、でも音楽が好きじゃないわけではなく、むしろ音楽が好き。すごくちょうどいい場所にあるというか、うがった目線で音楽を捉えない人が多い印象です。DJをしていても、知らないような曲でも盛り上がってくれるんです。
あの場にいるお客さんってどんな人だろうと考えると、やはり「若い人」が多いと思います。若い人はアニメなど僕らが親しんだカルチャーに対して、さらにフラットです。高校で普通にアニメの話をするような、そんな時代になってきているのではないでしょうか。
僕(31歳)らの世代、つまり20代後半〜30代前半も比較的フラットですが、世代を全体的に見たらまだまだ「ファッション好き」「アニメ好き」のようにクラスタがバラバラだと思います。若い層にいけばいくほど、そもそもクラスタというものが存在しないんじゃないかと思っています。「若い人」はそういったイメージですね。
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■「その人が一番良く聴こえる」曲、「女の子の詞の方が得意」な詞

記事:kz(livetune)のルーツを探る〜インターネットに出会い、初音ミクを起用した理由では、「kzさんとテクノロジー」の関係性について掘り下げたが、さらに"生の声"を活かす曲作りについてもお話を聞きたくなった。
livetune+でのやのさん、またその他の楽曲提供時、kzさんはどのようにボーカルの魅力を引き出そうとしているのだろうか。

--前回の取材でも、人の声の均一性が愛おしいというお話を頂きましたが、やはりその場限りのような部分を重視されているのでしょうか?

kz:
そうですね、例えばTokyo 7th シスターズというソーシャルゲームの楽曲を作っていた時のことです。声優さん6人のユニットなので、様々な表現の仕方をお持ちなんですね。ただ「今の感じすごく良かったです」「じゃあ今の感じで何テイクか録りましょう」となっても、結局一発目がすごくよかったりする。やはり声の再現は不可能なんですよね。その時のいろんなものがクロスして出た声、そういう一回性のようなものにすごく惹かれます。
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--livetune+でのやのさん、またその他の様々なアーティストへの楽曲提供時に、声の魅力を引き出すという点はやはり意識されますか?

kz:
例えばやのだと高音もいいんですが、低い所も結構良かったりするんです。その人が一番良く聴こえる歌い方やフレージングは意識しますね。それは楽曲提供する方だったら前の作品を聴いて「こういう歌い方だったらこの人は一番カッコよく歌えるんだ」と、参照しながら曲を作ります。
その分、一回一回がスーツの仕立て屋のようなもので、オーダーメイドで楽曲を作るのでストックがないんです。livetune+としてようやくユニットとして出来るので、ストックが作れるなと思いました。

--kzさんは作詞もご自身でされることが多いですよね。

kz:
基本、作詞は出来る限りやらせて頂くことが多いです。比較的、女の子の歌詞を書く方が得意ですね。引っ張っていくような男らしい歌詞ってあまり書けないんですよね。
一つは昔から比較的女子と普通に友達として遊ぶことが多かったりしたので、かわいいものも好きですし、修学旅行での「女子部屋行こうぜ!」みたいな"男子"的なノリがあまりなかったりします。もう一つは、異性である分現実から離れて「リアリティから離れてもいいか」と妄想しやすいこともありますね。

--だからこそ、キラキラした曲が生まれる。

kz:
そうですね、あんな(歌詞のような)キラキラした毎日を送っている女の子はいないはずですが(笑)、かわいい世界観は好きですし、一方で、そういう女子がいたらいいなという妄想と、その両方ですかね。
「そふとたっち」ミュージックビデオ

■livetune+では、ライブで全国を練り歩きたい

--最後にlivetune+としての活動の構想について、お聞かせ下さい。

kz:
5月の「Sweet Clapper」リリースの後、年内に1〜2枚位はリリースしたいですし、何と言っても今まで回れなかったところへ挨拶に行きたいですね。今まで地方をあまり回れなかったので、全国を練り歩きたい。また、時間帯としても、DJとしてのプレイではどうしても夜になるので、昼のお客さんにも会いたいですね。YYYに出たときも(1月24日にVol.0.5が開催時は17:00スタート)お昼のお客さんの熱量はまた違うなと思いました。
これまではタイアップや企画を頂いて、それに寄せて楽曲を作ることが多かったので、ライブでのお客さんとのコミュニケーションを通して「お客さんに対して、どんな次の曲があったらいいか」と考えることにもチャレンジしていけたらと思っています。

livetune+名義での初E.P.「Sweet Clapper」は5月11日にリリース。全7曲が収録される(収録曲:1. Intro 2. Sweet Clapper 3. Milky Rally 4. そふとたっち 5. スローペース 6. Jump Up 7. Darling Darling/初回限定盤・通常盤ともに1800円+税)。3月31日には当E.P.のアートワークも解禁となった。

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5/11発売・livetune+名義での初E.P.「Sweet Clapper」(上:初回限定盤・下:通常版)

ライブを意識したkzさんの手による楽曲群と、ボーカル・やのさんのその場がパッと明るくなるような空気感は、筆者も、出演頂いた当メディア「SENSORS」のイベント「SENSORS IGNITION」で触れ、livetune+のこれからの活動がとても楽しみになった。是非"ライブ"で体感してほしい。

取材・文:市來孝人

SENSORS Web副編集長
PR会社勤務ののち、かねてより旅行でよく訪れていたロサンゼルスに在住。帰国後、福岡やシンガポールのラジオDJ、東京でのMC・ナレーター、ライターとして等の活動を経てメディアプランナーとして活動中。また、タレント・企業トップなど個人に特化したPR・ブランディングにも携わっている。
Twitter:@takato_ichiki / Instagram:@takatoichiki

ライブ写真:萩野格

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