政権交代時でのすったもんだ
紆余曲折を経て、日本郵政の社長交代が決まった。4月1日付で、西室泰三社長に代わり、ゆうちょ銀行社長の長門正貢氏がトップに就く。
健康上の理由で西室氏が2月に入院して以降、総務省事務次官経験者の鈴木康雄・日本郵政副社長が社長代行を務めていた。政府内では鈴木氏の経営手腕はそれなりに評価されていたが、「民営化」にふさわしい民間人にこだわり、長門氏を起用することになった。
だが実は、長門氏に決まる前、水面下では有力企業のトップ経験者などを模索していたという。この調整が難航したため、結局は長門氏に落ち着いたのだ。
企業のトップ経験者が、日本郵政の社長を避けたのはなぜだろうか。
まず、日本郵政がこれまで政治に左右されてきたからだ。小泉政権時代に民営化が決まり、日本郵政ができた。社長は三井住友銀行から西川善文氏を迎えた。
ところが、'09年9月に政権交代が起きると、民主党と連立していた国民新党の意向によって、郵政民営化から再国有化へ政策転換。金融2社(ゆうちょ銀行、かんぽ生命)の株式を政府が一定割合保有し、経営体制が見直された。
人事では、社長であった西川善文氏を始めとした民間人を追い出し、旧大蔵省出身の斎藤次郎氏など、官僚OBを社長などにあてた。いわゆる天下り人事である。
西川氏は、本格的な経営者だった。聞くところによると、出身の住友銀行などから30名程度のチームを組み、日本郵政へとやってきたらしい。腹心の部下がいなければ、巨大企業である郵政グループを掌握して経営を主導するのは不可能であると知っていたからだ。
ただその分、追い出されたときは大変だったはずだ。西川氏は更迭された際、自分が連れてきた部下たちが路頭に迷わないよう、全員の再就職を手配した。
実力者である西川氏だからなんとかできたが、これは誰でもできることではない。この騒動は広く民間経営者に知られたので、「マトモ」な経営者であればあるほど、日本郵政を敬遠するようになったのだ。
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