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 リオデジャネイロ五輪の代表選考会を兼ねた競泳の日本選手権が4日、東京辰巳国際水泳場で幕を開ける。男子平泳ぎの北島康介(33)=日本コカ・コーラ=が狙うのは5大会連続の五輪出場。切符を手にすれば、柔道の田村亮子らに並んで夏季五輪の日本選手最多タイとなる。

 3月、スペイン南東部にあるシエラネバダ。スキーリゾートとして有名な標高2320メートルの地にある屋内プールで、無精ひげ姿の北島が泳ぎ続けていた。

 代表選考会へ向けた高地合宿の真っ最中だった。大会に臨む心境は、これまでと明らかに違う。「4年前までは五輪へ行くことが普通。国内のライバルも少なくて余裕があった。背中に羽が生えていたような。いま、その羽はないよね」

 昨年4月の日本選手権では、100メートル平泳ぎで世界選手権の代表入りを目指したが、小関也朱篤(やすひろ)、立石諒(ともにミキハウス)に先着を許し、切符を逃した。当時は、自身が社長を務める会社の経営が生活の中心。空いた時間を競泳にあてる日々だった。

 やり切った、とは思えなかった。現役続行を決め、少年時代から指導を受けてきた平井伯昌コーチ(52)に頭を下げた。「第一線で勝負できる、平井先生の教えを請うという意味ではこの1年が最後だと」。昨秋から、かつてのような競泳優先の生活に戻した。