[PR]

 文部科学省は1日、性同一性障害に限らず、「同性愛」「両性愛」も含む性的少数者の子どもへの対応について、小中高校の教職員向けの手引を公表した。学校での理解がなかなか進まないためだという。

 手引は性同一性障害への対応が中心で、過去の支援事例を改めて紹介したほか、学校から寄せられた疑問にQ&A形式で答えている。支援事例は「自認する性別の服装を認める」「卒業証明書の発行では卒業後に性別を変えた者が不利益にならないよう対応する」など。Q&Aでは「他の生徒に隠している例はあるか?」との問いに「文科省の調査では約6割が他の生徒や保護者に知らせていない」とした。

 性同一性障害は、男性か女性かなどの自己認識を示す「性自認」を巡る課題。どの性を好きになるかを示す「性的指向」と混同しないよう注意した。さらに、性的指向に関わる同性愛と両性愛に言及し、「偏見や差別が起きている」と明記した。子どものいじめ被害や不登校、自殺にもつながる危険があるとされ、手引を教育委員会担当者向けの研修などで使い、現場に周知するよう求める考えだ。

 馳浩文科相は1日の記者会見で、「教職員の理解を促し、不安や悩みを抱える児童生徒が相談しやすい学校の環境づくりを推進する」と述べた。(高浜行人)

■教育現場、広がらぬ理解

 「プライベートな部分だから関わりたくない、と考えているのでは」。北海道の公立高校に勤める40代の養護教員は、同僚を見ていてそう思った。「生徒に当事者がいるとわからなければ関心が持ちにくく、教職員の間で話題になることはほぼ無い」と話す。