ノーベル文学賞のケルテース・イムレ氏死去

ナチス・ドイツの強制収容所での過酷な体験をもとにした文学作品などで知られ、2002年にノーベル文学賞を受賞したハンガリーの作家、ケルテース・イムレ氏が31日、首都ブダペストで亡くなりました。86歳でした。
ケルテース・イムレ氏は、ハンガリーの首都ブダペストでユダヤ人の家庭に生まれ、第2次世界大戦中、ポーランドのアウシュビッツ強制収容所などに送られた経験があり、戦後、翻訳家などを経て、作家としての活動を始めました。アウシュビッツでの過酷な体験をもとに1975年に発表した「運命のない人の物語」では、強制収容所に送られた若者が生き延びて解放されるまでの苦悩に満ちた収容所での生活を描写して高い評価を受けました。
ケルテース氏の作品は戦後の社会主義時代には評価されませんでしたが、共産党政権が崩壊したあと、90年代に入って注目を集めるようになりました。
そして、2000年にドイツの有力紙ウェルトが世界の有力な作家に贈る「ウェルト文学賞」に選ばれ、2002年には、ハンガリー人として初めてノーベル文学賞を受賞しました。その後、闘病生活を送っていましたが、ハンガリーの出版社によりますと31日、ブダペストで86歳で亡くなりました。