日米韓 結束で対北朝鮮抑止を
ワシントンで日米韓首脳会談が行われ、北朝鮮の核・ミサイル問題での連携強化を確認した。2年前にオランダ・ハーグでカメラの前に並んだ3人の首脳が見せた硬い笑顔は、柔らかなものへと変わっていた。
2年前と今回の違いは日韓関係の好転を反映したものだ。
日韓関係はここ数年、竹島問題や歴史問題をめぐって悪化し続けてきた。それが、慰安婦問題に関する昨年末の合意でやっと正常化への軌道に戻りつつある。
米国のオバマ大統領と韓国の朴槿恵(パククネ)大統領はともに、ハーグ会談の時と比べて3カ国の関係が大きく進展したことを評価したという。安倍晋三首相は「日米韓があらゆる分野での協力強化を確認できた」と述べた。日米韓の連携強化を歓迎したい。
3カ国が直面する課題は北朝鮮への対応だ。首脳会談で合意された安全保障・防衛協力の強化で、特に急がれるのは北朝鮮に関する情報共有である。日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)締結へ向けた議論を活性化させるべきだろう。
北朝鮮はきのう、短距離の地対空ミサイルを発射した。2年前の3カ国首脳会談の時にも中距離弾道ミサイル「ノドン」2発を日本海へ向けて発射している。日米韓へのけん制を狙ったようだ。
金正恩(キムジョンウン)第1書記は「核弾頭」の爆発実験や、核弾頭を搭載できる弾道ミサイルの発射実験を早期に行うよう指示している。実際には核弾頭開発には至っていないと見られるが、北朝鮮は着実に技術水準を上げてきた。警戒を怠ることはできない。
北朝鮮はこれまで常に日米韓の足並みを乱れさせ、自らに有利な状況を作ろうとしてきた。そんなことをもう許してはいけない。
国連安全保障理事会の制裁決議の履行など中国の協力も不可欠だ。中国に強い対応を求めるためにも日米韓の結束はきわめて重要だ。
北東アジア安定のために必要な日米韓協力をきちんと機能させるには良好な日韓関係が必須となる。今回の3カ国首脳会談はそのことを再認識させるものでもあった。
オバマ氏は、慰安婦問題に関する合意を念頭に「両国が話しあったことは良かった」と歓迎したという。日米韓体制に占める日韓関係の重要さを意識した発言だろう。
その後に行われた日韓首脳会談では合意の誠実な履行で一致した。ただ両国とも依然として国内に異論を抱えている。すべてが順調に進むわけではないはずだ。
相手の置かれた難しい立場に配慮して合意を着実に履行していく。日米韓の安保協力のためにも、そうした姿勢が日韓両国に求められる。