千葉雄高、市川美亜子
2016年3月16日11時31分
コンピューターグラフィックス(CG)で本物そっくりに裸の女児を描いたら児童ポルノになるのか。こんな争点の裁判で15日、有罪判決が東京地裁で出た。ただ、児童ポルノだと認めたのは起訴されたうちのごく一部。何をもって児童ポルノと判断するのか、その基準は?
■34点のうち3点、児童ポルノ認定
児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造など)の罪に問われたのは、岐阜市のグラフィックデザイナー高橋証(あかし)被告(55)。少女の裸の写真データを素材にしてCGを描き、ネットで販売したとして起訴された。逮捕した警視庁によると、CGを児童ポルノとして摘発した初の事例だった。
現行法の規制対象は実在の児童が描かれたもので、架空の児童を描いた創作は対象外だ。今回の事件で、被告は1980年代に出版された写真集などを参考に写真と見まがう精巧なCGを作製。一方で元の写真にない体のパーツを描いたり、構図やポーズを変えたりもしており、裁判では「創作物で無罪だ」と主張していた。
この日の判決で三上孝浩裁判長は、34点のうち3点を「児童ポルノにあたる」として、懲役1年執行猶予3年、罰金30万円(求刑・懲役2年、罰金100万円)を言い渡した。
判決はまず、CGであっても「一般人が見て、顔や胸、性器など重要部分で、実在の児童を忠実に描写したと認識できれば、児童ポルノとして処罰対象になる」との判断を示した。
残り:791文字/全文:1385文字
おすすめコンテンツ
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞社会部
PR比べてお得!