発達障害のケアレスミス対応法がほぼ瞑想になっている
来未さんのブログにて発達障害のケアレスミスの対象方法が記載されていましたがこれがほぼヴィパッサナー瞑想になっていたことに驚きました。
発達障害の特徴
発達障害としては自閉症、アスペルガー症候群、トゥレット症候群など、コミュニケーションが困難になる症状(相手の意図を察することが出来ない、不適切な行動、声が出てしまう)が出てしまう「広汎性発達障害 」、読み書き計算など、学習に影響する能力の習得が困難な「学習障害(LD)」、集中できない、身体をじっと落ち着けられない、衝動的に動いてしまうなどの症状が現れる「注意欠陥多動性障害(ADHD)」などがあげられます。
来未炳吾さんはアスペルガーとの診断を受けていらっしゃいますが、不注意特性も持っているとのことです。
不注意特性の原因
脳科学の発達により、脳の特定分野の活動に問題があることが分かってきています。
既に2015年に血流からADHDを判定できる方法が昨年自治医科大と中央大のグループから発表されています。
今後の治療法の確立に繋がることを期待しますが、ここで押さえておくべきことは
「性格などの問題ではなく、器質的に不注意が慢性的に発生する状態になっている」
ことです。
本人がいくら努力したとしても、該当の脳部分がうまく働かないため、ADHDを持たない人と同じレベルで注意を行うことが出来ない、というべきでしょうか。
なので、抜本的な対策としては該当部分の脳を活性化することになるわけですが、来未さんが考えだした方法は以下でした。
動作的には「コマ送りで動く」ことです。動く→止まる→動く→止まる→動く……と、ミリ単位で動いて下さい。スローモーションではなくストップモーションのイメージです。一時停止を連続させる感じです。
対象動作は全てです。部屋から出る際にドアの取っ手をつかむ動作、テーブルのコップを手に取る動作、歩く動作、食べ物を口に運ぶ動作、咀嚼する動作……家の中にいる間は、なるべく全ての動作をBタイプの感覚で行って下さい。
普段は「1動作」でやってる事を細かく分割する動作イメージです。コップを掴む→持ち上げる→口に運ぶ→飲む……やろうと思えば、もっともっと分割できますよね。1つの動作も感覚の使い方次第で、無制限に動作回数を増やす事ができます。脳とは、そういう使い方ができるのです。
これ、ほぼヴィパッサナー瞑想と呼ばれる「気づきの瞑想」です。
ここで軽くヴィパッサナー瞑想について説明
ヴィパッサナー瞑想は「気づきの瞑想」とも呼ばれ、今、この瞬間に何が起こっているかを確認する瞑想法です。観察対象の細かな変化を詳細に確認しつづけることに特徴があります。
類似した方法としてグーグル社員が行っていることで一躍有名になった「マインドフルネス」がありますが、詳細な違いについては後述します。*1
さて、先ほどの方法の中で
動作的には「コマ送りで動く」ことです。動く→止まる→動く→止まる→動く……と、ミリ単位で動いて下さい。スローモーションではなくストップモーションのイメージです。一時停止を連続させる感じです
とありましたが、
この1つ1つの
- 動作を「行う」と決めて
- 動作を「確認」し、
- 動いた後「止まる」
部分が
- 「確認対象を定める」
- 「動作・感覚そのものを細かく分割し、詳細に認識する」
- 「再度、次の確認対象を定める(=認識している対象以外に意識を向けない為)」
に当てはまってしまうのです。
これを自身で編み出したという事実に、私は驚愕しました。
加えて、これを高速でやりましょうと言い、実際に行っていた点に再度驚きました。
ミャンマーのヴィパッサナー瞑想を行っている僧院で行う修行と同レベルです。
どうして効果があったのか
以下は推測ですが、上記のヴィパッサナー瞑想に類似したトレーニングを行うことで瞑想状態に近い脳の使い方をする形になったのでしょう。
瞑想は左中心前回、右紡錘状回、右楔状部、両側前方背側島などの自律機能、情動、認知と深い関連性がある箇所の脳組織の面積を増大させることが分かっています。*2
それにより発達障害で生来機能が低下していた箇所の脳が活性化された結果不注意特性が和らいだのではないでしょうか。
まとめ
日本では自閉症は1000人に2~3人の割合、発達障害は分析方法によりますが全体の10%にあたる人が何らかの発達障害に該当するのではといわれています。
今回の記事の内容はあくまで個人の体験の為、多くの検証が必要ですが何らかの形で同じような症状に苦しむ方の参考になればと思います。
4月2~8日は発達障害啓発週間となっています。
なないおさんのブログ・ツイッターでコラボ企画が展開されています。
この記事は少々方向性が異なるためエントリーはしませんが、ご興味がありましたらぜひコラボ記事をご覧になって、身近にいる自閉症・発達障害の方々との関わり方について考えてみてはいかがでしょうか。
*1:
ヴィパッサナー瞑想と私が理解している限りでの「マインドフルネス」の主な違いは
- 観察対象は変更しない。観察対象は予め決めておき、意識がそれた場合、それたことを確認後、また元の観察対象に戻す。
- 心の状態が「何故変化したか」は考えない。変化した内容だけを確認。
です。
特に二つ目は重要な点です。
ストレスフルな時や悩みが多い時は心の反応系が良くない繋がりを持っているため、「何故」を頭で考えてしまうと良くない反応が強化されてしまう危険があります。
ヴィパッサナーでは反射的に出てきた変化のみを確認することで、思考で表面的に理解するのではなく、「腹に落ちる=深層心理が変わるぐらい強烈な理解の」反応が出るまで待つことでそもそもストレスを感じにくい心の状態を作ってゆくことが目的の一つであるからです。
詳細な記事は後日作成いたします。