「片山は9歳のとき、両足を切断することを自らの意志で決めた」と、室井尚(哲学者、横浜国立大学教授)は本展の寄稿で述べている。子どもの頃にはいじめを受け、学校に行かないことも多かった片山に転機が訪れたのは、高校1年生のときだ。スタイリスト・島田辰哉のファッションモデルを務めたのである。この出会いをきっかけに、義足に絵を描くようになると同時に、「思想はファッションや身体で表現できる」と感じたという。この頃からつくり始めたアクセサリーは、現在の作品のベースになっている。
高校時代、就職に向けて勉強に励んでいた片山は、進路指導の先生に勧められ、群馬青年ビエンナーレに初めての作品《足をはかりに》(2005)を出品して奨励賞を受賞。近年では「アートアワードトーキョー2012」でのグランプリ受賞、「あいちトリエンナーレ2013」への出品など活躍を続け、開催中の「六本木クロッシング 2016:僕の身体(からだ)、あなたの声」にも出品している。作品制作を初めて10年が経ついまも、「義足は装いであり、生きるためのものだが、ただの道具である」という視点は変わらない。
本展は、シルエットを写したモノクロポートレートの新シリーズと、片山自身の部屋を思わせるインスタレーションから構成される。片山だけの身体的特徴を介して生み出された作品には、誰しもが持つ「身体感覚」を揺さぶる力がある。
─3331 ART FAIR recommended artists─
場所:3331 GALLERY
住所:東京都千代田区外神田6-11-14 3331 Arts Chiyoda 1階 104(3331 GALLERY)
休館日:会期中無休
URL:http://www.3331.jp/schedule/003244.html