加藤1位通過…男子予選 個人総合選手権
今夏のリオデジャネイロ五輪の代表選考会を兼ねた体操の全日本個人総合選手権は1日、東京・国立代々木競技場で開幕し、初日は男女の予選が行われた。男子は加藤凌平(コナミスポーツ)が90.150点と唯一90点台をマークして1位で通過した。2位は0.350点差で田中佑典(同)。白井健三(日体大)はあん馬で落下するミスがあったが得意の床運動などで巻き返して9位と踏ん張った。既に代表入りしている内村航平(コナミスポーツ)は予選免除で、決勝から出場する。
女子は村上茉愛(まい)=日体大=が57.200点で1位通過。2位は0.700点差で杉原愛子(朝日生命)。男子は内村を含む上位36人、女子は上位24人が3日の決勝に進んだ。予選の得点は決勝に持ち越さない。
「ポスト内村」存在感
エース内村が免除となった予選でトップに立ったのは次期エース候補として期待される加藤だった。左足首のけがを抱えながらも、ほぼミスなく安定感のある演技を披露。この日、社会人になったばかりの22歳は「大舞台で強いところを見せられた」と振り返った。
2012年ロンドン五輪に出場。13年の世界選手権では個人総合で内村に次ぐ銀メダルに輝いた。だが、昨夏に左足首の靱帯(じんたい)を損傷。37年ぶりに団体金メダルに輝いた昨年の世界選手権は足に負担の掛かる床運動と跳馬を避ける苦しい戦いだった。
この日から国内選考が始まったが、足の状態は「まだ80%」。跳馬では衝撃を和らげるために演技の難度を落とし、床運動でも最後の着地だけは止められず、かばうように足を跳ねる場面もあった。
今回の代表選考は個人総合の上位から選ばれたこれまでの五輪選考とは違い種目別が重視される。個人総合の順位で選ばれるのは5月のNHK杯で内村を除いた最上位の選手だけだ。万全でなくともトップに立つことで、オールラウンダーとしての存在感を改めて示した加藤。残り一つの個人総合での代表争いに全力をかける。【田原和宏】
○…村上がまたも大舞台で強さを見せた。昨年の世界選手権は補欠からの起用だったが、個人総合で日本勢最高の6位と健闘。自慢の脚力を生かした床運動と跳馬のスペシャリストは、4種目での戦いにも大きな手応えをつかんだ。この日も、床運動で最高H難度の「シリバス」(後方かかえ込み2回宙返り2回ひねり)を決めると、他の種目も目立ったミスなく演技をまとめた。さらに自信を深めた19歳の村上は「個人総合で代表に選ばれたい」と意気込んだ。
○…白井が得意の床運動で9位まで順位を押し上げた。今大会は、最高H難度の新技「シライ3」(後方伸身2回宙返り3回ひねり)を封印。昨年まで取り入れていた抱え込みのG難度の技で確実に着地を決めた。最初の種目となったあん馬でいきなり落下して「練習でもなかったのでびっくりした」と白井。苦手な種目の失敗にすぐに気持ちを切り替え、「決勝でこの借りを返す」と力強かった。